米Gartnerは米国時間2009年4月15日,世界パソコン市場に関する調査結果を発表した。速報値によると,2009年第1四半期の出荷台数は6720万台で,前年同期から6.5%減少した。

 ベンダー別にみると,米Hewlett-Packard(HP)が市場シェア19.8%で首位を獲得した。低価格ノート・パソコンを含むバランスの取れた製品ポートフォリオでリードを広げた。2位の米Dell(市場シェア13.1%)に,台湾のAcer(同13.0%)がわずかな差で続いた。プロ向け製品に注力しているDellに対し,Acerは米国およびEMEA(欧州,中東,アフリカ)市場をターゲットにした低価格ノート・パソコンで出荷台数を伸ばした。

 地域別にみると,米国の出荷台数は前年同期比0.3%減の1530万台。低価格のノート・パソコンが堅調だったため,出荷台数の落ち込みは最小限にとどまった。なお米国ではHPが出荷台数シェアの21%を占め,2001年以来初めてトップの座に返り咲いた。

 EMEAは同10.2%減の2270万台で,はじめて2ケタ台の下げ幅を記録した。中南米は,他の地域に比べ在庫がだぶつきが目立ち,同12.4%減の550万台となった。

 日本を除くアジア太平洋地域は,景気の減速がプロ向け市場に打撃を与え,前年同期比5.5%減の1820万台。日本は同3.8%減の約3600万台となった。一般消費者によるミニノートやノート・パソコンの需要が堅調に伸びたものの,企業の買い換え需要が鈍化した。

 同社主任アナリストのMikako Kitagawa氏は,「今後も低価格のノート・パソコンが,多くの地域の成長を後押しするだろう。しかしASP(平均販売価格)の低下により,市場の売上高は急減する可能性がある」と予測した。

 また米IDCも同日,世界パソコン市場に関する調査結果を発表した。同社の報告データによると,2009年第1四半期の出荷台数は前年同期比7.1%減の6346万台。市場の縮小が従来予測の同8.2%減より小幅にとどまったのは,ミニノートの人気による販売価格の低下や,販売チャネルの拡充などが要因とみる。

■Gartner調査による2009年Q1のメーカー別世界パソコン出荷台数(速報値)
(単位:1000台)
メーカー 2009年Q1
出荷台数
2009年Q1
市場シェア
(%)
2008年Q1
出荷台数
2008年Q1
市場シェア
(%)
伸び率
(%)
Hewlett-Packard 13,305 19.8 12,974 18.1 2.6
Dell 8,789 13.1 10,579 14.7 -16.9
Acer 8,758 13.0 6,911 9.6 26.7
Lenovo 4,430 6.6 4,798 6.7 -7.7
東芝 3,688 5.5 3,115 4.3 18.4
その他 28,239 42.0 33,467 46.6 -15.6
合計 67,209 100.0 71,846 100.0 -6.5
注:デスクトップ・パソコン,ノート・パソコン,x86サーバーを含む
出典:Gartner(2009年4月)

■IDC調査による2009年Q1のメーカー別世界パソコン出荷台数(速報値)
(単位:1000台)
メーカー 2009年Q1
出荷台数
2009年Q1
市場シェア
(%)
2008年Q1
出荷台数
2008年Q1
市場シェア
(%)
伸び率
(%)
Hewlett-Packard 13,001 20.5 12,634 18.5 2.9
Dell 8,651 13.6 10,383 15.2 -16.7
Acer 7,333 11.6 6,863 10.1 6.8
Lenovo 4,427 7.0 4,811 7.0 -8.0
東芝 3,447 5.4 3,090 4.5 11.6
その他 26,601 41.9 30,494 44.7 -12.8
合計 63,460 100.0 68,274 100.0 -7.1
注:デスクトップ・パソコンとノート・パソコンを含むが,x86サーバーは含まない
出典:IDC(2009年4月)

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