図●国内IT市場の製品別投資成長率予測
図●国内IT市場の製品別投資成長率予測
[画像のクリックで拡大表示]

 IDC Japanは2009年4月14日,2009年の国内IT市場予測を再び下方修正して前年比3.8%減の12兆1770億円になると発表した。今年1月8日の発表では,前年比1.7%減の12兆3788億円になると予測していたが,2月に実施した企業のIT投資マインドに関する調査結果などを基に見直した。景気悪化によるIT投資削減の影響はハードウェア市場に最も顕著に現れ,この分野は11.0%のマイナス成長になるとみている。同社は2008年9月時点で2009年の国内IT市場規模は前年比0.9%増と予想していた。

 同社では,ITユーザー企業のIT投資マインドについて四半期毎に調査を行っている。今回の下方修正は,2008年第4四半期(10月~12月)の投資実績や,2009年2月に実施したユーザー調査,および3月時点の景気動向などに基づくもの。特にユーザー調査では,「2009年度にIT投資を削減する」と回答した企業が62%に達し,2008年11月に実施した前回調査よりも11ポイント増加。「景気の悪化により,IT投資を削減する意向を固めた企業が増えている」と,調査を担当した和田英穂氏は説明する。

 製品別に見ると,これまで高成長を続けてきたパッケージ・ソフトウェア市場も2009年は前年比0.5%のマイナス成長になると予測する。ハードウェア市場は,サーバーとPCへの投資が大幅減となり, 前年比11.0%のマイナス成長となる。

 ただし,景気悪化の影響はそれほど根深いものではないとみる。2010年の国内IT市場は前年比0.3%増のほぼ横ばいと予測。「景気は2010年の後半から徐々に回復し,ITサービスが2.5%増,パッケージ・ソフトウェアが2.6%増になるだろう」と,和田氏は予測する。一方,ハードウェアは中長期的に市場が縮小する方向にあるため,3.5%のマイナス成長にとどまる。

 「政府は景気対策としてIT新戦略を策定している。ITベンダーは政策出動に遅れることなく対応し,不況脱出に向けた事業戦略を練るべきだ」と,和田氏は提言する。