図1●データセンター・サービス市場の予測
図●データセンター・サービス市場の予測
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 「国内のデータセンター・サービスの市場は年平均12.7%で成長し,2012年には1兆2000億円に達する」――。IDCジャパンは2009年4月13日,データセンター・サービスに関する市場調査の結果を発表し,「世界経済危機の同市場への影響は比較的小さい」との見解を示した。

 データセンター・サービスとは,顧客企業の情報システムをデータセンターにおいて監視・運用するサービスのこと。IDCは3つのカテゴリ――「コロケーション」「専用ホスティング」「共有ホスティング」に分けて調査した()。その結果,2008年のデータセンター・サービス全体の市場規模は前年比13.3%増の7669億円と好調。2008年から2012年にかけても年平均12.7%で成長し,2012年には1兆2000億円市場に達すると予測した。

 コロケーションとは,サーバーの設置場所を貸し出すサービスのこと。ヤフーや楽天などのネット企業の利用が市場を牽引している。都心にあるデータセンターにサーバー設置場所を求める企業が多いため,コロケーション市場における関東地区のデータセンターのシェアは69%に達する。「大手ネット企業のデータ処理量が順調に増えているため,今後もコロケーション分野は安定成長するだろう」と,IDCジャパン ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏はみる。

 一方のホスティングは,サーバーの監視・運用を受託するサービスのこと。中でも月額の利用料金が少なくて済むレンタル・サーバーの利用が増えている。顧客企業がサーバーを占有する専用ホスティングと,他の企業と共有する共有ホスティングがある。

 専用ホスティングはデータセンター・サービスの市場で今後数年にわたって最も成長が見込める。「最近,大手製造業を中心に基幹システムの運用をアウトソーシングする動きが広がっている。経費を抑制しつつシステムを刷新する方法としてホスティング・サービスを採用する企業が増えているようだ」。伊藤氏は今後5年間で平均12.7%という高い成長を予測する根拠をこう説明した。ただし,調査時期が2008年11月で,まだ企業の業績悪化が表面化していない段階だったこともあり,「予測は若干下ぶれする可能性がある」と同氏は付け加えた。