図1●国内の正社員の採用見込み(2009年第2四半期)
図1●国内の正社員の採用見込み(2009年第2四半期)
 全体的に雇用見込みが落ち込む中,IT/通信業界だけが「増員」(31%)が,「減少」(20%)を上回った。出典:ハドソンレポート-日本,2009年第2四半期。
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 「2009年第2四半期にIT/通信関連企業の31%が増員を計画しており,雇用意欲は全業種の中で最高」――。外資系人材紹介会社のハドソンは4月6日,2009年第2四半期(2009年4月~6月)の国内の雇用見込みなどに関する調査結果(ハドソンレポート)を発表し,全業種で雇用意欲が低迷する中,IT/通信業界は比較的堅調であるとの見方を示した。

 本調査は,銀行/金融やIT/通信,製造など主要5業界の多国籍企業のエクゼクティブ418人を対象に正社員の雇用計画などを直接ヒアリングし,結果をまとめたもの(図1)。それによると,2009年第2四半期に「増員を計画している」という回答は全体平均で22%となり,前四半期の31%から大きく下落した。逆に「人員削減を計画している」という回答は25%で,前四半期の8%から急増した。

 こうした中,IT/通信業界の雇用見込みは最も高く,全業種の中で唯一,「増員を計画している」(31%)が,「人員削減を計画している」(20%)を上回った。しかもその差が11ポイントあり,IT/通信関連企業の雇用意欲が他業種に比べて堅調であることがわかった。その理由として「移動体通信インフラとエンタープライズ・ソフトウエアの分野で採用の動きが活発化しているほか,CRMとSaaS関連のエンジニアの需要が堅調のため」と,同レポートでは分析している。

 これに対し,雇用見込みの落ち込みが最も激しいのは,銀行/金融サービス業界。「人員削減を計画している」(32%)が,「増員を計画している」(23%)を9ポイント上回り,その差は全業種の中で最大だった。多くの銀行が大規模なリストラに着手している実態が調査結果からうかがえる。ただし,「金融サービス関連のIT分野の人材,たとえば金融取引や株式の専門知識を持つアプリケーション開発者の需要は依然として高い」と同レポートでは報告している。