米IDCはシンガポールと香港で現地時間2009年3月5日,クラウド・コンピューティングの今後の展望について調査した結果を発表した。それによると,クラウド・サービスに対する世界IT支出は2012年に現在の約3倍に拡大し,420億ドルに達する見込み。

 日本を除くアジア太平洋地域(APEJ)の696人のIT部門責任者およびCIO(最高情報責任者)を対象に調査したところ,回答者の11%はすでにクラウド・ベースのソリューションを利用しており,41%は将来の導入に向けてクラウド・ソリューションを評価中,もしくは試験運用中だった。半面,クラウド・コンピューティングに潜在的な可能性は感じるが,現状では導入の決め手となるような魅力的なサービスはあまりない,と考える回答者も17%いた。

 クラウド・コンピューティングを利用する主な理由については,50%以上がコスト削減を挙げた。しかし,ベンダーは利用料を下げるだけではクラウド・サービスを成功に導くことはできないと,IDCは指摘する。ユーザーはサービスを選定する際の基準として,料金体系だけでなく,サービス品質保証契約(SLA)やソリューションの完全性も考慮に入れているからである。

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