電通は2009年2月23日、「2008年(平成20年)の日本の広告費」を発表した。「総広告費」は前年比4.7%減の6兆6926億円、「インターネット広告費」は同16.3%増の6983億円となった。特にモバイル広告は47%増の913億円と大きく伸びた。

 総広告費は2003年以来5年ぶりの減少。北京オリンピックなどのプラス材料があったものの、世界的な金融危機、円高による景気後退が大きく影響したという。媒体別に見ると「新聞広告費」が前年比12.5%減の8276億円と大きく減少。「テレビ広告費」は同4.4%減の1兆9092億円、「雑誌広告費」が同11.1%減の4078億円、「ラジオ広告費」が同7.3%減の1549億円だった。「マスコミ四媒体広告費」は4年連続の減少となる。

 インターネット広告費(同16.3%増)は、2007年の同24.4%増、2006年の同27.8%増に比べて伸び率は低下した。内訳は、媒体費が同17.0%増の5373億円、広告制作費が同14.0%増の1610億円。

 媒体費の中では、「モバイル検索連動広告」が同2倍の170億円、「パソコン向け検索連動広告」が同22.9%増の1575億円、「モバイル広告」が同47%増の913億円と伸び率が高い。

 その理由として、検索連動型広告については「景気の変動にもかかわらず費用対効果を重視する広告主の出稿は堅調」だったことを挙げている。一方、モバイル広告はリッチコンテンツも楽しめる高速通信環境の整備、若年層向け新サービスの相次ぐ登場、「iPhone」などの登場といった要因でモバイル市場全体が活性化したこと。さらに、「効果的な広告メディアとしての評価が定着したことがナショナルクライアントによるマスキャンペーンの活用を促進し、SNSの広告活用などさまざまな領域で活発な展開が行われた」としている。

日本の広告費(媒体別)
日本の広告費(媒体別)

 なお、日経広告研究所と日本経済研究センターが2009年1月30日に発表した「2008年度と2009年度の広告費見通し」によると、2008年度(08年4月~09年3月)の日本国内の広告費見通しは9.7%減。08年度上半期(08年4月~08年9月)の広告費は5.8%減だったのに対し、下半期(08年10月~09年3月)は13.2%減と二けたの落ち込みになるという。

 媒体別に広告費の見通しを見ると、08年度下半期のマスコミ四媒体合計は11.3%減になり、新聞18.7%減、雑誌19.6%減、テレビ7.8%減、ラジオ2.0%減。一方、インターネット、SP(販売促進)など非マス四媒体も14.6%減とマス4媒体以上に落ち込むと見込んでいる。

 また、2009年度の広告費の予測は合計で2.9%減。マスコミ四媒体合計は4.0%減(新聞8.6%減、雑誌8.8%減、テレビ2.2%減、ラジオ0.5%減)。非マス四媒体は2.1%減の見込みという。