「どうも疲れがとれない」「疲れた顔してるね,とよく言われる」---昨今,疲労を感じるビジネスパーソンは少なくないだろう。

 ましてIT業界,あるいは何らかの形でITにかかわる仕事に従事するIT人材は,総じて疲労度が高いと予想される。プロジェクトの短納期化や情報システムの複雑化により,ただでさえ労働環境が厳しくなっている上に,未曾有の景気低迷による影響が避けられないからだ。

 実際のところ,IT人材はどれだけ「疲れている」のか。疲労回復法として,何を実践しているのか。ITpro Researchでは,ITにかかわる人材の疲労度についての調査を1月27日から2月3日まで実施。2000人から回答を得た。その結果を報告する。

9割が疲労度を感じる,最も疲れているのは「プログラマ」

 まず,最近1カ月の状況を振り返って,自分が「疲れている」と感じるかを聞いた(図1)。その結果,「感じる」「たまに感じる」を合わせて全体の9割が「疲れている」と答えた。予想されたことではあるが,IT人材の大多数が「疲れている」のだ。

図1●最近1カ月の状況を振り返って,自分が「疲れている」と感じるか(年代別)
図1●最近1カ月の状況を振り返って,自分が「疲れている」と感じるか(年代別)

 回答者の年代別に見ると,どの年代でも「疲れている」との回答が大多数を占めるのは共通している。中でも疲れが目立つのは30歳代。ほぼ半数が定常的に疲労を感じていると答えた。

 30歳代といえば,企業の中ではまだ若手に属するものの,すでに多くの経験を積んでおり,リーダー格の役割も求められるようになる年代。このため,特に疲れがたまりやすくなっているのかもしれない。

 では職種別にみるとどうか。それを示したのが図2である。

図2●最近1カ月の状況を振り返って,自分が「疲れている」と感じるか(職種別)
図2●最近1カ月の状況を振り返って,自分が「疲れている」と感じるか(職種別)

 最も疲れているとの割合が高かったのはプログラマ。疲れを「感じない」と答えたのは2.8%で,他の職種と比べて群を抜いて低い。プログラミングは知的活動であるがゆえに,ただでさえハードワークになりがち。しかも,ITプロジェクトの中で様々なしわ寄せを受けやすい職種な多いだけに,余計に疲れを感じやすいのだろう。

 プログラマと並んで,疲れているとの回答が多いのは「プロジェクト・マネジャー(PM)」だ。疲れを「感じない」と答えたのは4.6%で,こちらも少ない。PMとプログラマが最も疲れを感じるというのは,IT人材の状況を象徴しているとみることもできる。

 IT人材がこうした疲労を感じる理由として,「忙しすぎる」「上司とうまくいかない」といった仕事に関する要因以外に,「家族との関係に問題がある」「年を取った」といったプライベートに関する要因も考えられる。そこで,疲労を感じる最大の要因は仕事に関する要因か,プライベートに関する要因かを聞いた。すると,ほぼ8割が仕事に関する要因を選んだ。仕事の状況を何とかしない限り,疲労度合いは軽くならないということである。