米McAfeeはスイスで現地時間2009年1月29日,知的財産の盗難が企業に与える影響について調査した結果を発表した。それによると2008年に,知的財産を狙ったサイバー犯罪による損害額は,全世界で推定1兆ドルを超えたという。

 景況悪化により,機密情報の安全性が低下したという企業は39%を占めた。同社によると,世界規模の不況が深まるなか,会社の機密情報に不当にアクセスする社員が増えている。解雇された場合,新しい雇用主に情報を売り込んで転職を有利に進めるのが狙いである。そのような背景から,解雇した社員が機密情報の脅威になるという企業は42%に達した。

 企業幹部を巧妙なフィッシングで欺き,知的財産を盗もうとする犯罪者も増えている。社外からの脅威が一番の懸念事項とする企業は39%にのぼった。

 西欧諸国に比べ,開発途上国の方が知的財産の保護に力を入れていた。ブラジル,中国,インドが知的財産の保護にかける費用は,ドイツ,英国,米国,日本のそれを上回った。また競争力を高めるために,知的財産権の確保に投資しているという企業は中国が74%,インドが68%だった。

 この調査は米国,英国,ドイツ,日本,中国,インド,ブラジル,ドバイの企業800社以上を対象に実施したもの。知的財産データに対する脅威,被害,保存場所などについて尋ねた。