野村総合研究所(NRI)は1月26日、大手企業の経営戦略におけるITの位置づけに関する調査結果を発表した。それによると、「経営戦略を明確な形で立て、役員会などで正式に決定している」とした企業は80.6%だったのに対し、IT戦略を同様の形で正式決定している企業は39.0%にとどまった。何らかの形でIT戦略を立てている企業の合計は78.3%に達したものの、「IT戦略は立てていない」とする企業も19.9%あった。

 IT戦略を立てている企業を対象に、経営戦略とIT戦略の関係について尋ねたところ、最も多かったのは「経営戦略を策定した後で、それを受けてIT戦略を策定する」で43.1%。「経営戦略と一体的にIT戦略を策定している」という企業は30.2%だった。23.2%の企業は「経営戦略とIT戦略はそれぞれ独立的で、両者間に特に関連はない」と答えた。

 しかし理想的な手法としては「経営戦略と一体的にIT戦略を策定」を挙げる企業が57.6%と最も多かった。両者を一体化すべきという認識があっても、必ずしも実行できていない現状がうかがえる。

 今後数年以内に自社が重点的に取り組むべき経営施策の上位3つは、「全社的な経営管理・リスク管理体制の一元化」(67.8%)、「経営情報(営業、収益、顧客など)の一元管理」(61.0%)、「社内のノウハウ共有やコミュニケーションの強化」(54.2%)だった。いずれも、実行の際にITを積極的に活用すべきとの意見が40%を超えた。

 過去10年程度のIT投資の効果については、「ある程度得られている」が57.1%、次いで「どちらともいえない」の23.2%だった。「十分に得られている」との評価は6.8%にとどまった。

 調査は、国内に本社を置く売上高上位の企業2006社を対象に、2008年9月2日―19日に実施。19.8%にあたる397社から回答を得て集計した。

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