データセンターが続々新設・増床されており,稼働率も悪くないという。ユーザーはいったいどういうふうにデータセンターを利用しているのだろうか――。そんな問題意識から昨年暮れ,ITpro上でアンケートを実施した(関連記事:データセンターを選ぶには,ゴミ捨て場のチェックも忘れずに)。

 正直なところを言うと,データセンター上でのシステムの開発・運用に直接携わるエンジニアや営業担当者が,ITpro読者の大多数を占めるとは思っていない。なので,回答が集まるだろうかという不安もあったが,結果的にはわずか3日間で2000件を超える回答を頂戴した。データセンターに対する関心がこんなにも高いのかということを改めて感じた。ご回答いただいた皆さまにお礼を申し上げたい。

 さて,アンケートの結果を報告する。

 まず,データセンターの利用状況を聞いた(図1)。データセンターを何らかの形で利用している人は,44.7%に上った。今や半数近くの人が,データセンター上でシステムを構築・運用しているのである。

図1●データセンター(ハウジング,もしくはホスティング)の利用状況
図1●データセンター(ハウジング,もしくはホスティング)の利用状況

 意外に多いと感じたのが,ハウジングの利用だ。「ハウジング,ホスティングともに目的に応じて利用している」(24.2%),「ハウジングのみを利用している」(7.0%)を合わせると全体の3割を超える。ハウジングは,ユーザーが保有するサーバーをデータセンターに設置して,ユーザー自らが運用管理を行うサービスだ。

 これまで積み上げてきた事例取材を顧みると,自社で運用していた情報システムをデータセンターに引っ越すケースが増えているという話をよく聞いていた。自社で運用し続けたくとも,電源やサーバーの重量といった物理的な制約が一般のオフィス・ビルにあるのだという。ハウジングは正にそうした制約を回避する用途に向く。それを反映した数字と言えそうだ。

 ただ,自社運用の難点は物理的な制約だけではない。安定稼働に必要な運用管理やパッチ適用,バージョンアップ,障害対応などシステム運用にかかわるコストが無視できない。一方,データセンターの側でも,プラットフォームをそろえて効率的に,これらの作業の請け負うホスティングのメニューを強化している。

 筆者の取材では,今のところ,基幹系システムはハウジングで,メール・サーバーやグループウエア・サーバーはホスティングでと使い分けている企業はある。コストの見直しが求められる中,今後は基幹系まで含めてホスティングに移行するところも出てくるだろう。

 もし,1年後に同じアンケートを取れば,ホスティングの割合がもっと増えているかもしれない。