調査内容 2009年第1四半期IT予算の分野別前年同期比増減率(予測)
調査時期 2008年12月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3229件(1207件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業の情報システム担当者を対象に行った2008年12月の調査で,2009年第1四半期(2009年1月~3月期)のIT予算の前年同期比増減率(予測値)を,適用業務アプリケーションやITインフラの分野,ハード/ソフト別などに細分して聞いたところ,同じ2008年12月の調査で聞いた2008年第4四半期(2008年10月~12月期,1月22日付け記事参照)と同様に,20分野(「その他」分野を除く)全ての前年同期比の平均値が,約10%~25%のマイナスという結果になった。

 ただし2008年第4四半期と比較すると,「既存システムの再構築」,「SFA・営業系」,「ハード購入」,「ソフト購入」,「セキュリティー」の各分野が,約4ポイント以上マイナス幅が拡大した。逆に「物流」は2.7ポイント,「生産管理」も0.7ポイントと小幅ながら,2008年第4四半期より予算の前年同期比のマイナス幅が縮小している。

「前年同期比2割以上マイナス」は経営戦略系,SCM,SFAとストレージ,危機対策系

 業務アプリケーション8分野(「その他」を除く)の予算の前年同期比増減率は,最高が「CRM・顧客関連」の-10.9%,最低は「経営戦略系」の-25.4%。2008年第4四半期(「会計」-10.9%~「経営戦略系」-25.1%)とほぼ同じ水準だが,前述のように「SFA・営業系」が2008年第4四半期の前年同期比平均-15.8%から2009年第1四半期は同-20.0%にダウン。「物流」は2008年第4四半期の-13.8%から2009年第1四半期は同-11.1%に戻す。下の図からも見て取れるように「経営戦略系」と「SCM」が約25%,「生産管理」と「SFA・営業系」が約20%の特に大幅な前年同期比マイナスとなっている。

 システム・インフラ7分野(「その他」を除く)は2008年第4四半期(「セキュリティー」-11.4%~「ストレージ系」-19.0%)に比べて,2009年第1四半期は「ネットワーク系」の-15.0%から「ストレージ系」の-21.6%まで,前年同期比のマイナスが7分野すべてで拡大。2008年第4四半期と同様「情報系」,「運用・危機対策系」,「ストレージ系」の3分野のマイナス幅が約20%前後で大きいが,2008年第4四半期と比較すると「セキュリティー」(-11.4%→-15.1%)や「インターネット系」(-13.4%→-16.8%)のダウン幅が目立つ。

 「新規システム開発」,「既存システムの再構築」,「運用・保守開発(信頼性向上,コスト・ダウン)」の目的別分類では,2008年第4四半期の予算は前年同期比約-12%~-14%の水準だったが,2009年第1四半期の予算では「再構築」と「新規開発」が約-18%にダウンした一方,「運用・保守開発」は約-12%に踏みとどまった。「ハード購入」と「ソフト購入」はともに2008年第4四半期の約-15%から2009年第1四半期は約-19%へと,これも前年同期比のマイナスが約4ポイント拡大している。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち,予算執行・承認権限を持つ人を対象に,執行・承認の権限を持つシステム分野の予算(四半期分)の増減率を聞いた。
 本文中の「IT予算の前年同期比の平均」は,選択式回答(最も近いものを一つ選択)の「完全に削減」を-100%,「前年同期の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「90%以上110%以内」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内」を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「前年同期の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 分野別のITインフラ系のうち,「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」はビジネス・コンティニュイティー関連のシステムも含む。目的別のうち「運用・保守開発」は信頼性向上やコスト・ダウンのための開発を含む運用・保守,ハード/ソフト別での「ソフトウエア購入」の対象範囲はアプリケーションやミドルウエアを指す,と設問に記載している。
 なお,適用業務分野の「SFA・営業系」と「SCM」と「物流」の3分野は2007年6月調査(2007年4月~6月期),「会計」以外の適用業務分野の7分野とシステム・インフラ分野の「運用・危機対策系」は2007年3月調査(2007年1月~3月期)での回答数が30件未満のため,四半期予算増減率INDEXは参考値。2006年9月調査と2006年12月調査,2007年9月調査と2008年3月調査,2008年6月調査,2008年9月調査,今回の2008年12月調査では,「その他」以外での参考値扱いの分野はない。
 2006年9月調査(2006年7月~9月期)は「全社情報システム担当者」の回答のみだったのに対し,2006年12月調査(2006年10月~12月期)からは「部門/事業所/ワークグループ・レベルの情報システム担当者」の回答も含んでいる。
 調査実施時期は2008年12月中旬,調査全体の有効回答は3229件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1207件。

図●次の四半期(2009年1月~3月)IT予算の分野別前年同期比増減率
図●次の四半期(2009年1月~3月)IT予算の分野別前年同期比増減率