米Gartnerは英国時間2009年1月15日,2009~2012年のビジネス・インテリジェンス(BI)の動向に関する予測を発表した。経済危機の影響やSaaSへの移行など,現在の情勢をふまえた予測をした。それによると2012年までの期間,世界の有力企業上位5000社のうちの35%以上では,事業や市場の大規模な変化に関して,的確な意思決定を行えない事態が頻繁に発生するという。ITインフラやビジネス・ツールに十分な投資を行っていない企業は少なからずあり,そうした企業は機敏な意思決定を行うための情報,プロセス,手段が欠けると指摘する。

 また2012年までに,BI予算全体の40%以上を企業の各事業部門が使うようになると予測する。企業のIT部門はBIインフラの構築には長けているが,意思決定に必要な情報を得られるかという点に関して事業部門の信頼を失っているという。スプレッドシートを利用したダッシュボードや分析アプリケーション・パッケージなどを用いて事業部門主導による分析やパフォーマンス管理が行われるようになっており,そうしたアプリケーションへの支出が増えるという。

 このほか2010年までに20%の企業が各業種に固有の分析アプリケーションをSaaS型で利用するようになると予測している。SaaS型のサービスを提供するプロバイダは増えていくが,セキュリティや機密性が万全であることが求められるため,業種ごとの寡占状態は残るという。SaaS型のアプリケーションで得た情報を社内のデータウエアハウスときちんと統合できるよう,プロバイダとの協力が必要という。

 また2009年中には,ソーシャル・ソフトウエアとBIプラットフォームの機能を組み合わせた,コラボレーション型の意思決定を行うための製品が新たなカテゴリとして登場するとしている。これは,トップダウンによる正式な意思決定ではなく,ユーザー同士が連携して意思決定を行う仕組みという。

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