今回は中堅・中小企業におけるサーバーの導入時期やサーバーOSの種類を取り上げ,その実態と課題を明らかにしてみたい。

2002年以前に導入されたサーバーが3割近くを占める

 サーバーの導入時期を見ていくと,2008年の時点でも,2002年以前に導入されたサーバーが28.4%を占める(図1)。さすがに減少傾向にはあるものの,古いサーバーを使い続けているユーザーが多いことが分かる。

図1●サーバーの導入時期(Nは有効回答数)
図1●サーバーの導入時期(Nは有効回答数)

 サーバーOSは,Window Server 2003への切り替えが順調に進んでいる。2008年の時点では導入済みサーバーの46.8%がWindows Server 2003であり,Window Server 2003とWindows 2000を合わせると8割弱になる。その一方で,Windows NTがいまだに1割強残っている。

図2●サーバーOSの種類(Nは有効回答数)
図2●サーバーOSの種類(Nは有効回答数)

 これらの調査結果からは,2002年以前に導入したサーバーを新しいOSへ移行させることが困難なため,公式のサポートが終了したWindows NTおよび,その上で稼働する業務アプリケーションを“塩漬け状態”で利用し続けているユーザー企業が,少なからず存在していることが分かる。

古いサーバー,OSからの脱出を支援するリホストマイグレーション

 サポート面を考慮すると,古いサーバーやOSを塩漬け状態で使い続けることは好ましくない。この状況の有効な改善策に“リホストマイグレーション”がある。リホストマイグレーションとは,業務アプリケーションと古いOSの組み合わせを維持したまま,新しいサーバへと移設させることである。その鍵となるのが,仮想化技術である。

 リホストマイグレーションは元々,メインフレームやオフコン上で稼働する基幹系アプリケーションをUNIXサーバーへ移植するために用いられた手法である。しかし,仮想化技術が実用段階へと入ったことで,塩漬け状態の業務アプリケーションを,古いOSとセットでそのままに新しいサーバー上に移植できるようになった。

 2008年4月から日本でも提供されはじめたWindows Server 2008では,仮想化機能であるHyper-Vが標準装備されている。今後はNTをはじめとする古いWindows系OSからWindows Server 2008へのリホストマイグレーションが活発化すると予想される。

 仮想化技術を導入または検討している理由としては,「サーバー管理台数が減らせる」(44.5%),「アプリケーションの運用管理が楽になる」(39.8%),「柔軟なシステム構成が組める」(32.7%)といった統合化のメリットが上位に挙げられている(図3)。そんな中で,「レガシーシステムを移行することができる」も21.3%を獲得している。仮想化技術はリソースの有効活用と同時に,レガシーシステムを再生させる切り札としても期待されている。

図3●仮想化技術を導入または検討している理由(Nは有効回答数)
図3●仮想化技術を導入または検討している理由(Nは有効回答数)

 次回はシンクライアントの中堅・中小企業における認知度や,導入意向について取り上げる。なお,調査プロフィールと今後の連載予定はこちらを参照していただきたい。

青木 健太郎(あおき けんたろう)
ノークリサーチ アナリスト
国内大手企業の情報システム部門,Web系のITベンチャ企業を経てノークリサーチに入社。ERPを中心としたアプリケーション市場担当の若手アナリスト。