市場調査/マーケティングを手がける矢野経済研究所は12月22日、主要ネット通販サイトのポイントプログラム実施状況についての調査結果を発表した。それによると、ネット通販サイトはポイントプログラム提供率では小売業実店舗に及ばないものの、ポイント付与の対象となるアクション(顧客行動)の数では上回っていることなどが分かった。

 ネット通販サイトのポイントプログラム提供率は40.8%で、小売り実店舗の61.1%と比べ約20ポイント低かった。小売り実店舗は、顧客の囲い込みや顧客情報取得手段の一つとしてポイントプログラムを実施する傾向にあるが、購入時に住所などの個人情報の入力が必須となるネット通販では、業者がすでにこの過程を通じて情報を入手しており、顧客情報取得目的という観点でポイントプログラムをとらえていないという。こうしたことがプログラム提供率の差異の一因になっていると同社は分析する。

 インターネットの場合、商品/サービスの価格などをほかのサイトと比較することが容易で、一般的に顧客の囲い込みが困難という。それ故に、既存顧客を囲い込み、優良顧客を維持/拡大していくことが売り上げ拡大を図る上で重要になると同社は指摘する。

 その一方で、ネット通販サイトにおけるポイント付与対象のアクション(顧客行動)は、「会員登録」「商品購入/サービス利用」のほか、「商品レビュー/口コミ/感想/評価」「クイズ回答」「コミュニティサイトへの登録」など多岐にわたっており、ネットの特性を生かしたものが多い。ただし多くの小売り実店舗で実施されている「特定曜日/特定日/特定期間/特定時間帯」という日時指定のポイント加算サービスを提供するネット通販サイトは少ないという。

 多彩なポイント付与方法と日時指定のイベントを組み合わせることで、ポイントサービスの魅力は高められるという。そうした手法でサイトへの再訪問頻度を高める取り組みが重要になると同社は結論づけている。

 調査は、2008年8月―11月の期間、合計836の主要ネット通販サイトを対象に、同社の研究員が集計/分析を行った。自社の通販サイトで物品販売を手がける企業/サイト、および航空会社やクレジットカード会社が運営するアフィリエイトモールに出店しているサイトのうち、自社サイト展開している主なサイトを「主要ネット通販サイト」と定義した。

■関連情報
・矢野経済研究所のWebサイト http://www.yano.co.jp/