独立系調査会社の米Douglas E. Schoenが米国時間2008年12月17日に発表した調査結果によると,新聞産業衰退への懸念とは裏腹に,紙媒体の新聞を頻繁に読んでいる人は61%にのぼった。また,オンライン新聞を毎日もしくは週に2,3回読んでいる人は52%だった。

 調査は米国成人2000人を対象に実施。そのうち年収7万5000ドル以上で,通信分野,政府機関,企業もしくは非営利団体に勤務する450人を“エリート”と分類した。エリートに限定すると,紙媒体の新聞を頻繁に読む人は76%にのぼり,オンライン新聞を毎日もしくは週に2,3回読む人は約75%だった。

 米政府や米国全体におけるニュース報道の論調は,新聞に影響されると考える人は60%(エリートでは53%)を占めた。また,民主主義を維持するうえで,新聞の調査報道記事は不可欠とする人は77%(同82%)にのぼった。

 金融危機に関する報道において,新聞が主導的な役割を果たすと考える人は68%。また先の大統領選挙で,各候補の政策などを知る情報源として新聞が極めて重要だったという人は約66%(エリートでは57%)だった。

 ブログを読む人は約33%で,毎日もしくは週に2,3回,ニュース記事やブログ記事にコメントを投稿する人は9%(エリートでは16%)だった。

 同社研究員のDouglas E. Schoen氏は,「調査から,世間が案じている新聞産業衰退には,誇張が混じっていることが分かった。確かに財政的な問題を抱えているかもしれないが,新聞は信頼に値するメディアと見なされており,見識ある忠実な読者を引き付ける力がある」と述べた。