IT系の展示会や講演を取材していると,金融関連の話題が多いことに気付きます。先日の「ITpro EXPO 2008 Autumn」でもIFRS(国際財務報告基準)に関する講演がありました(関連記事)。IT技術者も,金融や財務に関する話題を避けて通ることはできなくなっているのでしょうか。

 そこで,今回の「記者のつぶやき調査編」では,財務の基礎である決算書の知識がIT技術者にどの程度求められているのかを調べるべく,「IT技術者に必要な決算書の知識」についてアンケート調査を行いました。12月の第1週目にITpro Researchモニター会員を対象にアンケートを実施したところ,1166人のIT技術者の方から回答をいただきました。

仕事に決算書の知識が必要な人は65%

 そもそも,IT技術者にとって決算書の知識はどのくらい必要なのでしょうか。そこで,「あなたの仕事に決算書の知識が必要ですか」とお伺いしたところ,「必須」「ある程度必要」「少し必要」と答えた人は全体の65%に上りました(図1)。半数以上のIT技術者が,決算書の知識が必要な仕事をしていることになります。個人的には,IT技術者には理系のイメージがあるため,ここまで多いのはやや意外でした。

図1●決算書知識の必要性(有効回答者数1161人)
図1●決算書知識の必要性(有効回答者数1161人)

 職種別に見ると,「必須」と答えた人の割合が最も多かったのは「ITコンサルタント」,2番目は「プロジェクト・マネージャー」でした(図2)。また,SEでは約5割が「必須」「ある程度必要」「少し必要」と回答しています。企業経営戦略を考えたりするITコンサルタントや,プロジェクトの開発や運用コストを気にしなければならないプロジェクト・マネージャーに決算書の知識が求められるのはもっともな気がしますが,開発や運用の現場に近いSEの仕事でも必要な場合が多いようです。

図2●職種別に見た決算書知識の必要性(カッコ内は有効回答者数)
図2●職種別に見た決算書知識の必要性(カッコ内は有効回答者数)

 これらの職種の人たちが具体的にどのような場面で決算書の知識が必要になるかを質問した結果(複数回答)が図3です。

図3●決算書の知識を使う場面(カッコ内は有効回答者数)
図3●決算書の知識を使う場面(カッコ内は有効回答者数)

 ITコンサルタントは「顧客の経営状況を知るため」「業界動向を知るため」,プロジェクト・マネージャーは「システム設計のため」「顧客の経営状況を知るため」,SEでは「システム設計のため」が上位を占めています。ここまでは予想通りですが,SEの3~4割程度が「顧客の経営状況を知るため」と答えており,技術畑の人たちも決算書を活用している様子がうかがえます。