調査内容 主要ベンダーへの満足度(ハード)
調査時期 2008年11月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 2933件(1137件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業情報システム担当者を対象に,国内の主な情報通信製品/サービス・ベンダーへの満足度を聞いたところ,ハード製品への満足度はデルが価格,キヤノンが機能とサポートへの評価で,それぞれ最高の満足率を獲得した。「価格」のデルと「機能」のキヤノンは,前回2008年5月前々回2007年11月に実施したベンダー満足度の調査から3回連続で首位を守っている。

 2008年5月以来となる今回のベンダー満足度調査も,前回と同様評価の対象を「ハード製品」「ソフト製品」「通信・ネットワークサービス(ASP,SaaSを含む)」に分け,それぞれ「価格」,「性能・機能」,「サポート・サービス」の3項目について評価を求めた。

 本日の記事ではまず,主要ベンダーの「ハード製品」の満足率(算出方法は下の「■調査概要」参照)の結果を紹介。明日12月10日の記事で「ソフト製品」,11日の記事で「通信・ネットワークサービス(ASP,SaaSを含む)」の結果を報告する。

デルとHPは3項目,キヤノンと富士ゼロックスが2項目でトップ5入り

 「ハード製品」の「価格」への満足率評価は,今回もデル(n=449)が82.2%の高い支持を得てトップ(前回2008年5月調査では84.1%)。2位も前回と同じ日本ヒューレット・パッカード(日本HP,今回n=320で76.9%,前回は76.1%)で,3位はセイコーエプソン(n=46で73.9%,前回は75.0%で4位)。今回のベンダー満足度調査での9つの評価項目中,70%以上の満足率が示されたのはこの「ハード製品」の「価格」での上位3社だけだった。

 「ハード製品」の「価格」への満足率上位は比較的安泰だったが,例外は前回調査で3位のキヤノン。図示していないが,やや大きくスコアを落として7位に後退した(今回n=79で63.3%,前回は75.7%)。

 デルと日本HPは今回「性能・機能」,「サポート・サービス」の2項目でも高めの満足率を獲得。デル(n=657)は「機能」が62.1%で4位(前回も68.0%で4位),「サポート」の満足率は49.2%で3位(前回52.1%で4位)。日本HP(n=596)は 「機能」が63.1%で2位(前回69.1%で3位),「サポート」の満足率は47.5%で5位(前回49.2%で10位)である。

 「性能・機能」,「サポート・サービス」の2項目でトップの満足率を得たのはキヤノン(n=169)で,「機能」64.5%,「サポート」55.0%。「ハード製品」の3項目の満足率の単純平均でもデルと日本HPに次ぐ3位を占めた。ちなみに今回評価対象とした有効回答数30以上の22社(下の「■調査概要」参照)のうち,3項目の単純平均での4位は富士ゼロックス(「価格」がn=127で59.1%,「機能」はn=188で60.6%,「サポート」51.6%)。5位はセイコーエプソン(「機能」はn=104で59.6%,「サポート」33.7%)。

「ハード」の機能とサポートはベンダー間で満足度の差がつかず

 セイコーエプソンは「サポート」満足率が22社中20番目ながら,3項目の単純平均で5位に食い込んだ。これは満足度評価の最上位ベンダーと最下位ベンダーの満足率の差が,「ハード製品」では小さかったためである。「ハード製品」の最上位と最下位の差を見たところ,「価格」は40.3ポイントで「ソフト製品」や「通信サービス」の各項目と同水準だが,「機能」は24.7ポイント,「サポート」は23.8ポイント差しかなかった。「ハード製品の性能・機能とサポートについては,各ベンダーの満足度の差が小さいが,価格だけは満足度に差が付いている」ということだ。

 ちなみに,今回評価対象とした有効回答数30以上の22社の「価格」満足率の平均値は58.5%。前回2008年5月調査での17社の平均値63.9%から5ポイント以上下がった。「性能・機能」満足率の22社平均は54.1%(前回17社平均60.1%),「サポート・サービス」満足率の22社平均は41.2%(前回17社平均47.8%)で,ともに約6ポイント・ダウンしている。

「サポート」満足率では大手メインフレーマが面目を保つ

 項目別の満足率トップ5を整理しておくと,「価格」はデル,日本HP,セイコーエプソンに次いでリコー(n=89で69.7%),シャープ(n=35で65.7%)。3項目の有効回答数合計の上位5社(下に図示)の中ではNEC(n=335)が57.6%,富士通(n=384)が57.3%でほぼ同率。日本IBM(n=344)は49.4%だった。

 「性能・機能」の満足率トップ5は,キヤノン,日本HPに次いでパナソニックがデルを0.1ポイント上回って3位(n=127で62.2%),5位が富士ゼロックス。パナソニックは前回2008年5月調査でも「性能・機能」の満足率2位(70.4%)を占めていた。3項目の有効回答数合計の上位5社ではNEC(n=543)が55.6%,富士通(n=576)が54.3%,日本IBM(n=548)は51.6%だった。

 「サポート・サービス」の満足率トップ5は,キヤノン,富士ゼロックス,デルに次いでNECが47.7%で,日本HPを0.2ポイント上回った。富士通も46.4%で6位に付けている。日本IBMは40.7%だった。

「不満足率」EMCや日立が改善,「価格」への不満が高まる

 今回も各製品分野・評価項目の「不満足率」(下の「■調査概要」参照)を算出した。「ハード製品」に対する3項目の「不満足率」の単純平均トップ(ワースト)5は,ソニー(26.8%),アップルジャパン(26.3%),エーピーシー・ジャパン(26.2%),日立製作所(23.9%),EMCジャパン(23.3%)。前回有効回答数不足で対象外だったアップルと,今回から評価対象ベンダーに加えたAPCジャパンが「不満足率」の上位を占め,前回22.9%(6位)のソニーも不満足率が拡大。前回調査で3項目の不満率平均が29.3%(1位)のEMCや27.6%(2位)の日立は,不満率が低下した。

 評価対象とした有効回答数30以上の22社の不満足率の平均値は,「価格」が28.3%(前回2008年5月調査では17社平均が19.9%),「性能・機能」が15.3%(同13.4%),「サポート・サービス」が19.3%(同16.6%)。3項目とも前回調査より不満足率の平均値が上がっているが,特に悪化したのは「価格」の不満足率だ。

 「価格」の「不満足率」トップ(ワースト)5は,ソニー(n=31で41.9%),日本IBM(n=344で36.9%),OKI(n=31で61.3%),シスコシステムズ(n=194で34.5%),5位タイの33.3%にはアップル(n=30),EMC(n=72),パナソニック(n=48),アライドテレシス(n=42)の4社が並んだ。ソニーは「価格」の満足率も41.9%で,今回評価対象の22社中最低である(21番目はEMCの43.1%,20番目はAPCの47.7%)。

 「性能・機能」の不満足率はアップルが20.6%でトップ,2位は日立の19.1%,3位はレノボ・ジャパンの18.8%。ここではシスコの不満足率が10.0%で22社中最も低く,次いでキヤノン(11.8%),OKI(12.0%)が低かった。

 「サポート・サービス」の不満足率はAPCジャパンが28.4%,アップルが25.0%,デルが23.9%でワースト3。不満足率が低いのはリコーの10.6%で,21番目の富士ゼロックス(14.9%),20番目のアライドテレシス(16.0%)に大きく差を付けている。リコーの「サポート」の満足率は44.4%で22社中7位だった。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,主要ベンダーに対する満足度を聞いた。評価対象ベンダー68社のリストは,本調査の設問の原文とともに,日経マーケット・アクセスの有償会員向けサイト「日経MA-INDEX 企業情報システム」で近日中に公開する。
 今回の「ハード製品」に対する満足度評価は,「価格」,「性能・機能」,「サポート・サービス」の3項目とも有効回答数が30以上に達した対象企業が22社(前回2008年5月調査では17社,2007年11月調査では18社,2007年5月調査では15社),このうち3項目とも回答数100以上が10社。図示していないが,富士ゼロックスも3項目とも回答数100以上(満足率は本文参照)だった。
 なお,今回の調査で3項目とも回答数30以上を得たが,当該ベンダーの製品・サービスの領域を考慮して,以下の22社(順不同)は「ハード製品」の満足度評価の集計対象から除外した。NTT東日本/NTT西日本,マイクロソフト,日本オラクル,NTTドコモ,ウィルコム,サイボウズ,NTTコミュニケーションズ,KDDI,ソフトバンクモバイル,ソフトバンクテレコム,アドビシステムズ,トレンドマイクロ,SAPジャパン,オービックビジネスコンサルタント,シマンテック,マカフィー,ピー・シー・エー,ヴイエムウェア,セールスフォース・ドットコム,イー・モバイル,レッドハット,シトリックス・システムズ・ジャパン。
 今回の調査ではまず「評価対象のベンダーを利用しているか」の設問を提示。そのうち「利用している」とした回答者数(有効回答数)を,そのベンダーのその評価項目についての100%とし,その評価項目に「満足」「不満足」の二者択一で回答を求めた。本文中の「満足率」は上記の有効回答数の中で「満足」とした回答者の比率,「不満足率」は「不満足」とした回答者の比率である。これに「満足」「不満足」のいずれも選ばなかった無回答(態度保留)の回答者を加えると100%となる。
 「価格」満足度は評価対象ベンダーと直接契約して利用している回答者,「性能・機能」と「サポート・サービス」満足度は評価対象ベンダーの製品・サービスを直接または間接的な形で利用している回答者にだけ,設問を提示した。なお,2007年5月調査までのベンダー満足度調査で指標とした「満足度INDEX」は,選択式回答の「大変満足」を100点,「やや満足」を66.7点,「やや不満」を33.3点,「大変不満」を0点にスコア換算して平均したもの。2007年11月実施の満足度調査で指標とした「満足率INDEX」は,今回と同様にまず「利用しているか」を聞き,「利用している」とした回答者に各評価項目と選択肢「満足」「評価対象外」を提示。「利用している」とした回答者数から「評価対象外」を選んだ回答者数を除いたものを100%として,「満足」とした回答者の比率を示した。
 調査実施時期は2008年11月中旬,調査全体の有効回答は2933件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1137件。

図1●情報システム関連ベンダーのハード製品への満足度(回答数上位5社)
図1●情報システム関連ベンダーのハード製品への満足度(回答数上位5社)
図2●情報システム関連ベンダーのハード製品への満足度(その他の主要5社)
図2●情報システム関連ベンダーのハード製品への満足度(その他の主要5社)