ITpro EXPOとは,専門誌,Web,セミナー,そして展示会を相互連携させた100日間のクロスメディア・イベントとして開催しているものである。ITpro EXPO 2008 Autumnは第2回に当たる(公式サイトはこちら)。

 そのメイン・イベントでもある「ITpro EXPO 2008 Autumn 展示会」を,2008年10月15日~10月17日に開催した。同展示会では,「グリーンITショーケース」「データセンター・ショーケース」といった日経BP社主催の主催者企画や,ICタグ,ワンセグ放送を使った実験企画を繰り広げた。主なものは以下の8つである。

  • 会場内限定ワンセグを使った映像配信やニュース配信を実施した「EXPOモバイル」
  • 講演やブースを訪れることでポイントがたまり抽選で景品が当たる「ICカードを使ったポイント・ラリー」
  • 専門家や日経BP社の記者が講演などを行った「メインシアター/ビジネス・イノベーション・シアター」
  • 注目の製品/サービスをIT/ネットワーク媒体の編集部が選定した「ITpro EXPO AWARD 2008 Autumn」
  • 会場内の特設ブースで全11分野の問題に解答することができた「ITpro EXPO検定」
  • Androidや次世代PHS、人体通信などを展示した「ネットワーク最前線」
  • FCoEのデモやコンテナ型データセンター展示を実施した「データセンター・ショーケース」
  • 環境に配慮した発電・冷却・PCなどを展示した「グリーンITショーケース」

 今回の調査では,こうした主催者企画/実験企画に「訪れた」「参加した」「利用した」かという点と,「良かった」「印象に残った」かという点をまず聞いた。調査は,ITpro Researchモニター会員を対象に,11月17日~11月26日の10日間,Web上で実施。有効回答数は1508だった。

参加者が最も多かったのは記者講演などを行った「シアター」

 回答者のうち,東京ビッグサイトで開催した「ITpro EXPO 2008 Autumn 展示会」を訪れた人は168人。その中で「訪れた」「参加した」「利用した」主催者企画/実験企画は,「メインシアター/ビジネス・イノベーション・シアター」が最も多く40.1%。以下,「ICカードを使ったポイント・ラリー」(38.3%),「グリーンITショーケース」(30.5%)と続いた(図1)。

図1●ITpro EXPO 2008 Autumn 展示会の主催者企画/実験企画のうち,「訪れた」「参加した」「利用した」企画と「良かった」「印象に残った」企画
図1●ITpro EXPO 2008 Autumn 展示会の主催者企画/実験企画のうち,「訪れた」「参加した」「利用した」企画と「良かった」「印象に残った」企画

 意外だったのは,「EXPOモバイル」を利用したとの回答が14.4%しかなかったこと。EXPOモバイルは,ワンセグ放送受信機能付きの携帯電話で,講演などの映像配信を受けることができるという企画だったが,会場内のあちこちに設置したモニターでも,映像を流していた。人気のある講演などでは,そのモニターの前が黒山の人だかりになることもあり,実際には「EXPOモバイル」を利用した人の割合はもっと多かったとみられる。ただそのモニターの映像が「EXPOモバイル」を使って配信されたものだという認識を持っていた人が少なかったためか,15%程度の数値にとどまった。

模型展示だと満足度低い? EXPOモバイルでは不思議な結果が

 一方,「良かった」「印象に残った」主催者企画/実験企画は,「メインシアター/ビジネス・イノベーション・シアター」(31.0%),「ICカードを使ったポイント・ラリー」(29.0%),「ネットワーク最前線」(21.9%)の順に多かった。「訪れた」「参加した」「利用した」人が多い企画が上位に来るのは当然とも言えるが,逆に「グリーンITショーケース」は,訪れた人が多かったわりに評価が低いという結果になった。

 グリーンITショーケースでは,雪冷房を利用した省電力型データセンターの「ホワイトデータセンター」や,出力が1000kWを超える「メガソーラー(大規模太陽光)発電所」などが出展されていたが,いずれも模型展示が中心であり,その点,来場者の期待に添えなかったのかもしれない。

 訪れた人のわりに評価が低かった企画としては,「データセンター・ショーケース」も挙げられる。ここでも,HPのコンテナ型データセンター「HP Performance Optimized Datacenter(POD)」が出展されていたものの,パネル展示が中心だった。データセンターや発電所などは,実物を展示会場に持ち込むことが非常に困難。とはいえ来場者にとっては,やはり「ホンモノに触れたい」という欲求があるのだろう。さらなる展示の工夫が必要なのかもしれない。

 また,「EXPOモバイル」に対する「良かった」「印象に残った」という回答では,奇妙な結果が得られた。「利用した」との回答を「良かった」「印象に残った」との回答が上回ったのだ。利用していない人も「良かった」「印象に残った」と回答したということになる。おそらくこれは,回答ミスが含まれた結果であると想像されるが,「利用した」人のほぼ100%が「良かった」「印象に残った」と回答しなければ,このような結果にはならない。「EXPOモバイル」の評価の高さを物語る調査結果と言えるだろう。