市場調査会社の米Frost & Sullivanがアジア太平洋地域のIPTV普及状況を調査したところ,13の国と地域におけるIPTVサービス加入者数は,2007年末時点で410万人に達しており,2013年末には2240万人に到達する見込みだという。2007~2013年の年平均成長率(CAGR)は32.7%となる。

 13の国と地域のうち,2007年の時点ですでに商用IPTVサービスを開始していたのは8カ国で,残りも2009年以降のサービス開始に向けてテストを行っている。

 アジア太平洋地域のIPTVサービス加入者数は,全世界の約3割を占める。真の意味でのIPTVサービスを提供していない韓国を除くと,アジア太平洋地域でIPTVが最も普及しているのは香港で,加入者数は同地域の24.9%に相当する102万人にのぼる。

 香港では,IPTVが有料テレビ市場の46.7%を占めており,ケーブル・テレビ(41%)や衛星DTHサービス(12.3%)を上回っている。IPTVが最大のシェアを握っているのは,香港だけである。

 しかし,香港においても,成功しているIPTVサービス事業者はごくわずかで,ほとんどの事業者はいまだに赤字だという。一部の専門家は,IPTVサービスの収益モデルは確立されておらず,利益を出せるようになるまでに長い時間がかかると指摘している。

 この点について同社リサーチ・アナリストのAdeel Najam氏は,「収益を得るまでに長い時間がかかるのは,他の有料テレビ・サービスも同じだ。インフラ構築やコンテンツ獲得に必要な費用を考えると,利益が出るまでに7年以上かかるのは当然のことだ」と述べている。