調査内容 主要ベンダーに対する「利用したい理由」(その1)
調査時期 2008年10月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3124件(1247件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業情報システムの担当者(ITpro Researchモニター登録者)を対象に行った2008年10月調査で,「今後利用したい」という回答を得たベンダーに対する「利用したい理由」(複数回答)を,得票数上位の5社(マイクロソフト,デル,日本ヒューレット・パッカード(HP),NTT東日本/NTT西日本,日本オラクル)について分析した。

マイクロソフトは「機能」が減って「実績」が最大の理由に

 今回,30人以上の回答者から「今後利用したい」とされ,「利用したい理由」を1つ以上選ばれたベンダーは29社(下の「■調査概要」参照)。この29社に対する「利用したい理由」の単純平均では,「製品/サービスの機能」が51.6%で最多(前回2008年7月調査では55.2%,2008年4月調査は56.4%)。次いで「過去の導入/利用実績」が41.7%(前回44.4%,前々回41.0%)。「ブランドや企業イメージ」がやや増えて24.0%(前回22.4%,前々回24.1%)。以下「導入後のサービス(保守,稼働継続)」が17.9%(前回20.1%,前々回23.6%),「コスト」もやや増えて16.1%(前回14.7%,前々回15.9%),「提案、業務分析、情報提供」は13.6%(前回13.8%,前々回11.1%),「企業規模や体制」も増えて12.1%(前回9.9%,前々回10.2%)。前回より「ブランド」「コスト」「企業規模」の比率が上がり,「過去の実績」「機能」「導入後のサービス」の比率が下がっているが,さほど大きな変化はなかった。

 「今後利用したい」得票数トップ,利用意向率は同率3位(11月14日付け記事参照)のマイクロソフトに対する『利用したい理由』は,「機能」が前回より7ポイント以上減って57.9%(前回65.3%,前々回60.6%)。逆に「過去の実績」が前回より約5ポイント上がって59.0%(前回53.8%,前々回51.3%)となり,ベンダー29社中の最大,マイクロソフトへの『利用したい理由』の中でも最大になった。

デルは今回も「コスト」,HPは「イメージ」が回復

 「今後利用したい」得票数2位,利用意向率5位のデルは,今回も「コスト」が64.9%で最大(前回2008年7月調査では61.6%,前々回2008年4月調査では59.8%)。2番目の大きな理由は「過去の実績」だが,前回より6ポイント弱減少しており(今回44.1%,前回49.7%,前々回52.7%),ますます「コスト」が選ばれる理由としての比重を増している。前回,前々回調査に続いて今回も,「コスト」が『利用したい理由』の中で最大だったのは,評価対象のベンダー29社/SIer15社(30人以上から「利用したい理由」の回答あり)の中で,デル1社だけだった。

 ベンダー29社中,『利用したい理由』で「コスト」の比率が2番目に高いのは38.9%の日本HP。前回調査でもデルに次いで「コスト」の比率は高かった(前回38.2%,前々回37.5%)が,その比率はあまり前回と変わらず,デルとの間には大きな開きがある。

 日本HPに対する最大の『利用したい理由』が「機能」(50.9%,前回53.9%)というのも前回調査と同じだ。ただし,前回調査で大幅に下がった「ブランドや企業イメージ」の比率が,今回は前々回以上の水準に高まった(前々回24.7%→前回17.8%→今回25.7%)。

 「今後利用したい」得票数4位のNTT東/西は,マイクロソフトと同じく「過去の実績」が最大の『利用したい理由』だが,その比率は前回の50.6%とほぼ同じ50.0%。今回NTT東/西については,「企業規模や体制」を理由に挙げた回答者の比率が前回調査より約5ポイント増えた(前回19.8%→今回25.0%)のが最も大きな変化だ。

 得票数5位の日本オラクルは,NTT東/西と同様,前回調査と『利用したい理由』の比率の変化が小さく,今回も「製品/サービスの機能」が64.2%で最多(前回62.2%,前々回67.6%)。2番目に比率の高い「過去の実績」がやや減少(前々回57.3%→前回57.8%→今回55.3%)したのが目立つ。前回に続いて,「コスト」の2.5%はベンダー29社中の最低だった。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,情報通信製品/サービス・ベンダーとシステム・インテグレーター(SIer)の主要企業各68社について,職務(担当システム)の領域で「今後利用したい」と感じるかを聞き,「今後利用したい」とした回答者に,そのベンダー/SIerを「利用したい」と感じる理由をたずねた。
 選択肢は「コスト」,「提案,業務分析,情報提供」,「製品/サービスの機能」,「導入後のサービス(保守,稼働継続)」,「企業規模や体制」,「ブランドや企業イメージ」,「過去の導入/利用実績」,「その他」の8つを提示。その中から,「利用したい」と感じる理由を最大3つまで選ぶよう求めた。そのベンダー/SIerを「利用したい」とした回答者数(無回答者を除く。図中のn)を100%として,それぞれの理由が選ばれた比率を集計した。
 今回の調査で30人以上から『利用したい理由』の回答が得られたベンダーは,今日の記事で紹介した5社と,アドビシステムズ,富士通,日本IBM,NEC,シスコシステムズ,サン・マイクロシステムズ(日本法人,MySQL,StorageTekを含む),ヴイエムウェア,日立製作所,サイボウズ,レノボ・ジャパン,SAPジャパン(BusinessObjectsを含む),シマンテック,トレンドマイクロ,オービックビジネスコンサルタント,富士ゼロックス,NTTコミュニケーションズ,リコー,EMCジャパン(Documentum,Avamarなどを含む。VMwareは除く),NTTドコモ,キヤノン,パナソニック,KDDI,セールスフォース・ドットコム,セイコーエプソンの合計29社(前回2008年7月調査では26社)だった。
 評価対象企業全136社のリストは,本調査の設問の原文とともに,日経マーケット・アクセスの有償会員向けサイト「日経MA-INDEX 企業情報システム」で公開している。
 調査実施時期は2008年10月中旬~下旬,調査全体の有効回答は3124件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1247件。

図●主な情報システム関連ベンダーに対する「利用したい」理由(回答数上位5社,n=159以上)
図●主な情報システム関連ベンダーに対する「利用したい」理由(回答数上位5社,n=159以上)