市場調査会社の米Gartnerは英国時間2008年10月23日,政府機関によるソーシャル・ネットワークの利用に関する調査結果を発表した。それによると,将来,市民によるソーシャル・ネットワークが行政機能の一部を補完し,場合によっては完全に取って代わる可能性があるという。

 同社副社長兼アナリストのAndrea Di Maio氏は「現在の世界的な金融不安を考えると,政府がソーシャル・ネットワークを導入する意義は高まっている。というのは,テクノロジ予算の削減により,政府の能力が低下している分野では,ボランティア・グループや慈善家,協会,ソーシャル・ネットワーキング・グループなどの社会的リソースの力を借りることが不可欠になっているからだ」と説明する。

 政府主導のソーシャル・ネットワーク導入は,その長所が生かされないことが多い,とGartnerは指摘する。政府がネットワークの所有権や規制にこだわると,ソーシャル・ネットワークの魅力は失われてしまう。政府主導が成功するには,明確で魅力的な目的が必要だ。その例として,米国務省が開設したwikiベースの情報共有システム「Diplopedia」などが挙げられる。

 一方,最も将来性があり,最も大きな変化をもたらす可能性があるのは,政府の外側に構築されるコミュニティである。例えば,育児に関するコミュニティ「Netmums」や,企画を立てて他のユーザーに参加を呼びかける「PledgeBank」などがある。

 Gartnerは,職員を使って,政府機関の職務内容に関連する外部のコミュニティを見つけることを勧めている。「ソーシャル・ネットワークの成功には自発性が不可欠だということを認識する必要がある」(Di Maio氏)。