ベンダー主導で進められてきたグリーンITも,いよいよユーザーが自らが戦略を立てて計画的に取り組む実践期に入った。中には100台のサーバーを8台に統合することで,消費電力を4分の1に削減できたという事例も聞かれるほどだ。

 では,企業のグリーンITへの取り組みはどれくらい進んでいるのか。ITproでは,IT分野の調査やコンサルティングを手がけるアイ・ティ・アール(ITR)と共同で,ITpro読者を対象に「企業のグリーンIT度」調査を実施した。実施期間は,2008年9月9日~9月30日。541人から有効回答を得た。

 調査では,グリーンITの具体的な対策を聞くだけでなく,総合的な視点から「企業のグリーンIT度」を評価するための設問を練った。最終的には,「環境対策を推進する組織体制」,「IT機器の省エネ取り組みの状況」,「情報システムの省エネ管理体制」,「情報化のプロセス」,「システムの投資対効果」の5つの視点から31問の質問を作成した。ここではその回答の一部をご紹介する。

情報システム部門のグリーンITへの意識は高くない

 まず最初に,情報システム部門(以下,IS部門)のグリーンITに対する意識を聞いた(図1)。「グリーンITはIS部門において取り組むべき課題」という回答は全体の4割弱にとどまった。企業全体の電力消費量のうち,IT機器による比率は3~5%程度と言われており,情報システムの担当者としては,まだまだ省エネへの意識は低いようだ。

図1●グリーンITは情報システム部門において取り組むべき課題か(単一回答)
図1●グリーンITは情報システム部門において取り組むべき課題か(単一回答)

 次に,グリーンITの取り組みを進めるときの課題について聞いた(図2)。上位を占めたのは,「どのレベルまで取り組むかの深度が不明確」,「取り組んでいくべき範囲・内容が不明確」という回答である。どんな取り組みを,どれくらい進めればいいのか,まだよくわかっていないようだ。「取り組みを進めるための社内体制が不十分」という回答も半数近くあった。一方で,グリーンITそのものに関する知識不足を指摘する声も4割を占めた。

図2●グリーンITの取り組みを進めるときの課題(複数回答)
図2●グリーンITの取り組みを進めるときの課題(複数回答)