市場調査会社の米IDCは米国時間2008年10月20日,クラウド・コンピューティングの今後の展望に関する調査結果を発表した。それによると,クラウド・サービスへの支出は今後5年間拡大し続け,2012年には420億ドルに達する見通し。この金額は同年のIT支出全体の9%に相当するという。

 クラウド・サービスの採用が加速する要因としては,現在の経済情勢を挙げる。クラウド型の方がITサービスの導入や利用にかかるコストが格段に低いため,景気が悪化している現状で大きな注目を集めるとしている。

 クラウド・サービスの普及がITサプライヤにもたらす事業機会は2種類あるという。1つは,自社のIT製品やサービスをクラウド・モデルで提供すること。SaaS事業,クラウド型ストレージ事業,クラウド型サーバー事業などへの参入がこれに該当する。もう1つは,クラウド・サービスへの参入を目指す企業をサポートする製品やサービスを提供することだ。

 企業のIT担当者やCIO(最高情報責任者)は,クラウド・サービス・プロバイダを選ぶ際に,競争力のある価格設定とパフォーマンス・レベル保証を特に重視しているという。

 IDCは「クラウド・サービス」と「クラウド・コンピューティング」という言葉を適切に区別することが重要だと指摘している。クラウド・サービスとは,インターネット上でリアルタイムに提供される消費者向けや企業向けの製品,サービス,ソリューションのこと。これに対し,クラウド・コンピューティングとは,そうしたサービスを提供するための基盤となるITインフラや技術のことだとしている。