携帯電話/PHSや無線LANは,従業員のワークスタイルや業務効率と密接な関連を持つ。携帯電話では第3.5世代携帯電話(3.5G)サービスが登場し,3.9Gの姿も見えてきた。企業にとって重要な選択肢となってきたワイヤレス・ブロードバンドの利用状況を見てみよう。

携帯電話のカード型端末がPHSを抜く

 携帯電話/PHSデータ通信サービスの利用率は昨年の36.8%から37.9%へと増えた。特筆すべきは,ユーザーが使っている端末。携帯電話のPCカード型端末の利用率が音声端末を超えた。また,PCカード型端末では携帯電話のシェアがPHSを抜き,トップになった(図1)。以前はパソコンのモバイル・データ通信と言えばPHSというイメージが強かったが,状況は大きく変わった。もちろん後押しした要因には,2007年のイー・モバイルのサービス開始,NTTドコモやKDDI(au)のパソコン向け定額データ通信サービスの開始がある。

図1●利用している,または利用する予定の携帯電話/PHSデータ通信端末
図1●利用している,または利用する予定の携帯電話/PHSデータ通信端末
カード型端末が最多になった。

 モバイル・データ通信サービスのシェアでは,NTTドコモがトップで26.1%。これに24.2%のウィルコム,20.5%のKDDIが続く(図2)。いち早く定額のパソコン向け3.5Gデータ通信サービスを始めたイー・モバイルも,新興事業者ながら6.2%のシェアを確保。一定の存在感を見せつけた。通信技術別で見ると,3.5Gが早くも9.8%のシェアを占めている。イー・モバイルの基地局やNTTドコモの基地局は,既にその大半がHSDPAに対応している。今後も3.5Gの利用は急速に拡大していくだろう。

図2●利用しているモバイル・データ通信サービスの提供事業者
図2●利用しているモバイル・データ通信サービスの提供事業者
NTTドコモとウィルコムが拮抗。

 最近はMVNOも話題である。調査ではドコモやイー・モバイルのMVNOサービスを使うユーザーはそれぞれ1%未満だった。今後シェアを拡大できるかどうかは,MVNOがどのような付加価値を提供できるかにかかっている。