IP放送・映像配信市場規模推移
IP放送・映像配信市場規模推移
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 矢野経済研究所は10月14日、2008年度におけるIP放送と映像配信市場に関する調査結果を発表した。それによると有料サービスの売上高は、IP放送市場が前年度比24%増の186億円、映像配信市場が同11%増の455億円に達する見通し。

 IP放送市場で成長を遂げている有料コンテンツ・サービスは、テレビ向け地デジ対応サービス。映像配信市場ではテレビ向けと携帯電話向けサービスの成長が著しい。配信チャネル別にみると、テレビ向けは定額制・従量課金ともに有料サービスの利用者が増加している。一方、携帯電話向けは有料サービスの数は少ないものの、コンテンツへの課金のしやすさから成長基調にある。

 パソコンで映像配信(動画配信・動画共有)を視聴した後のユーザー行動について調べたところ、関連情報を検索する人が48.2%にのぼり、関連商品の購入は21.8%だった。売上げに直結するのは約2割だが、プロモーション媒体としては高く機能していることが分かった。

 IP放送と映像配信サービスは、初期投資と運営コストが高いビジネスのため、黒字化するまで時間がかかり、市場はいまだに発展途上にある。また、無料サービスの利用者が急増している映像配信の場合、広告収益に対する依存度が高い。オンライン広告市場は成長しているものの、企業が安定した収益を確保できるようになるまで時間がかかる見通しだ。

 矢野経済研究所は、IP放送市場の今後の展望について、事業者の積極的なマーケティングが奏功して2011年まで拡大を続け、2012年度には564億円規模に達すると予測している。映像配信(動画配信・動画共有)市場は、テレビ向けや携帯電話向けサービスを中心に緩やかな成長を続け、2012年には796億円になるとみる。

 調査は2008年7―9月にかけて、IP放送・映像配信サービス提供企業を対象に実施した。

■問い合わせ先
・矢野経済研究所 広報グループ 電話:03-5371-6912

■関連情報
・矢野経済研究所のWebサイト http://www.yano.co.jp/