調査内容 主要インテグレータへの満足度(その5:システム構築力)
調査時期 2008年8月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 2780件(1157件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象として2008年8月に実施した調査で,国内の主なシステム・インテグレーター(SIer)の「システム構築力」に対する利用者の満足度を聞いたところ,富士通システムソリューションズ(Fsol)が満足率75.0%でトップ,NTTコムウェアが73.2%で2位。前回2008年2月調査で首位のネットワンシステムズが72.2%で3位となった。以下,新日鉄ソリューションズ(NSSOL),日本アイ・ビー・エム・サービス(ISC-J),伊藤忠テクノソリューションズ(CTC),NECソフト,兼松エレクトロニクス(KEL),野村総合研究所(NRI)の6社が約70%でほぼ横並びの満足率を獲得した(前回2008年2月の調査結果は2008年3月13日付け記事,前々回2007年8月の調査結果は2007年10月4日付け記事を参照)。

キヤノンMJ,NSSOLも構築力満足率が大きく上昇

 「システム構築力」に有効回答数30以上を得た30社の得た満足率(算出方法は下記の「■調査概要」参照)の平均値は62.0%。設問形式が若干異なる前回2008年2月調査(9月25日付け記事参照)での28社の平均値は39.3%だった。特にNTTコムウェアは前回の「システム構築力」満足率INDEX31.7%(28社中25位)から,今回41.5ポイントの大幅アップ。Fsolも40.6%から約35ポイント・アップした。得票数上位では,新日鉄ソリューションズ(NSSOL)が前回の41.7%(28社中9位),キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)が前回の31.5%(28社中26位)から,それぞれ約30ポイントの加点となっているのが目立つ。

 各社が前回より20~30ポイント・アップしている中で,比較的低い加点に終わったのは,富士ソフト(前回41.2%→今回52.3%)と大塚商会(前回41.2%→今回54.0%)。ユニアデックスは前回調査の「システム構築力」の有効回答数が28票と少なく参考値だが,前回の満足率INDEX53.6%に対し,今回調査での満足率は52.3%にとどまった。

CTCは製造業,NSSOLはサービス業での構築力満足度が高め

 「システム構築力」満足率上位で得票数の多いSIerの,回答者属性(「回答者が担当するシステムの範囲/分野」参照)別の特徴を紹介しておくと,「製造業」ではCTC(全体の満足率70.1%)が81.6%,「サービス業」(金融・情報処理関連サービスを除く)ではNSSOL(全体の満足率70.7%)が81.3%のやや高めの評価を獲得している。この両社は「流通業」での満足率が55.6%,57.1%と低めだ。

 得票数は少ないが,「システム構築力」満足率トップのFsolは「政府/官公庁/団体」業種の回答者の満足率が100%。NTTコムウェアは「製造業」で91.7%の満足率を得た。

 ISC-J(全体の満足率70.3%)とNECソフト(同70.0%)はともに,担当システムのライフサイクル上の段階別で「運用/活用支援」の担当者からは80%台(順に81.8%,82.8%)と高めの評価を受けたが,「設計/実装/テスト/移行」段階の担当者の満足率は50%台(順に58.8%,54.5%)と低めだった。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,主要インテグレータに対する満足度を聞いた。
 大手SIerの中からメーカー系/独立系や専門分野などのバランスを考えて20社(下図の回答数上位20位までの20社)をピックアップし,有効回答者全員に評価を求めた。その他の大手SIer 48社については,SIerと回答者をそれぞれ3グループに分けて,各回答者に16社だけを提示し評価を求めた。評価対象としたSIer全68社のリストは,本調査の設問の原文とともに,日経マーケット・アクセスの有償会員向けサイト「日経MA-INDEX 企業情報システム」で公開している。
 今回の2008年8月調査ではまず「(評価対象の)このSIerを利用しているか」を聞き,「利用している」とした回答者にのみそのSIerについて,「サービス料金」「提案力」「業務・業界知識」「プロジェクト管理能力」「システム構築力」「運用サービス力」の六つの満足度評価項目にそれぞれ,「満足」か「不満足」の二者択一で回答するよう求めた。「満足」と「不満足」の回答数の合計を有効回答数とし,「満足」とした回答者の比率(%)を「満足率」とした。このうち「システム構築力」については,下図に示した30社以外の38社は有効回答数が30未満だった。
 なお本文中で言及している2007年2月調査と2006年11月調査では,選択式回答の「大変満足」を100,「やや満足」を67,「やや不満」を33,「大変不満」を0点にスコア換算して平均した「満足度INDEX」の結果を示した。また前々回2007年8月調査と前回2008年2月調査では評価対象の各SIerについて「利用しているか」,「評価項目に該当するサービスやソリューションの提供を受けているか」を聞き,ともに「している」とした回答者数を100%として,その評価項目に「満足」とした回答者の比率(%)を「満足率INDEX」とした。
 調査実施時期は2008年8月中旬~下旬,調査全体の有効回答は2780件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1157件。

図1●主要システム・インテグレーターのシステム構築力に対する満足率(回答数上位10社)
図1●主要システム・インテグレーターのシステム構築力に対する満足率(回答数上位10社)

図2●主要システム・インテグレーターのシステム構築力に対する満足率(回答数11位~20位)
図2●主要システム・インテグレーターのシステム構築力に対する満足率(回答数11位~20位)

図3●主要システム・インテグレーターのシステム構築力に対する満足率(回答数21位~30位)
図3●主要システム・インテグレーターのシステム構築力に対する満足率(回答数21位~30位)