市場調査会社の米ABI Researchは米国時間2008年8月25日,教育分野における無線LANの利用実態の調査結果を発表した。教育分野では早くから無線LANの導入に踏み切っていたが,IEEE802.11nへの移行に関しても同様の積極性が見られるという。

 802.11nは,実効速度で100Mビット/秒以上が期待される無線LAN規格。現在はドラフト仕様の作成段階にあり,2009年7月の標準化が見込まれている。同社によると,高等教育機関における802.11nの普及率は2.3%だが,標準化前の新技術であることを考えると,注目に値する割合だという。

 大学が802.11nの導入に意欲的な理由としては,多数のユーザーへのアクセス手段の提供や,キャンパスにおけるセキュリティ確保の必要性,授業でのビデオ利用,学生のニーズなどが挙げられる。とりわけ無線LANを介したビデオ視聴に関しては,現行の802.11gなどよりも数倍高速で安定した通信ができる802.11nの魅力は大きい。また,大学にはITに精通したスタッフが多いため,最先端の技術導入に関して前向きだという。

 すでにデューク大学,アリゾナ大学,カーネギーメロン大学などが,米Cisco Systems,米Aruba Networks,米Meru Networksなどと手を組んで802.11nを導入している。またミネソタ大学も近々,米Trapeze Networksの協力を得て屋内2200万平方フィート(約204万平方メートル)と屋外キャンパスをカバーする802.11nネットワークを構築する計画である。