矢野経済研究所の調査によると、2007年度の大学生向け市場の規模は、前年度比1.1%増の1兆4460億円となった。調査を開始した2004年度以降、一貫して微増が続いている。同研究所では、少子化の中で市場の拡大が続く背景として、社会人の前段階である大学生に対し、顧客として囲い込みを図る企業が増えていることを挙げている。

 内訳を見ると、語学スクールや資格試験などの「勉学関連市場」や、娯楽施設、カラオケ、携帯電話などの「学割・学生向けサービス市場」は前年度比でマイナスとなった。一方、就職試験対策などの「就職関連市場」や、「卒業旅行・留学関連市場」は前年度より増えた。また、大学生向けの広告関連ビジネスや大学機関向けサービスなど、ターゲットは学生だが企業や大学、学生の親が支払者となる「B to B、E、P to C市場」も拡大した。

 「B to B、E、P to C市場」の中でも特に好調なのは、大学機関向けのITサービスシステム市場だという。学生ユーザーの囲い込みと企業イメージの向上を狙う企業側と、学生へのサービス向上と学務の効率化の狙う大学側の要望が合致。今後もさらなる拡大が見込まれ、競争も激しくなる見通し。

 また、大学生向け市場は企業の就職活動の動向に影響を受けやすいと同研究所は指摘する。例えば、最近の就職戦線は学生側の売り手市場となっているため、資格取得への意欲が上がらず、勉学関連市場にマイナスの影響を与えた。一方、早目に内定を受ける学生が増えたことで卒業旅行市場が活況を呈したり、採用活動が活発だったことで応募者の適性検査市場が好調になったりなど、プラスの影響もあった。

 調査は4―6月、学生向けサービスや大学機関向けITサービスなどを展開する事業者を対象に実施。同研究所の専門研究員による電話や電子メールでのヒアリングと文献調査を併用した。

■関連情報
・矢野経済研究所のWebサイト http://www.yano.co.jp/