ネットワーク・セキュリティ会社の米Arbor Networksは米国時間2008年8月18日,IPv6の普及状況に関する調査結果を発表した。それによると,IPv6への移行が思うように進んでいない実態が明らかになった。

 調査では,ネイティブのIPv6トラフィックではなく,IPv4を使ったIPv6トンネル接続のみを対象とし,2393台のピアリング・ルーターとバックボーン・ルーターを1年間にわたって分析した。

 2007年秋に約50Mビット/秒だったIPv6のトラフィックは,2008年夏には最大150Mビット/秒まで増加した。しかし,IPv4のトラフィックに対する比率は過去1年間ほとんど変わらず,わずか0.0026%だった。

 同社チーフ・サイエンティストのCraig Labovitz氏は,「IPv6の導入が当初の期待通りに進んでいないことは明らかだ。このペースだと,IPv4とIPv6を同時に使用できるデュアル・スタックの普及には,あと10年以上かかるだろう」と述べている。

 ただ,同氏は明るい話題も挙げる。各国政府の主導により,世界規模でIPv6への対応が進んでいる。例えば,米国では連邦政府の指示により,主要なベンダーすべてがIPv6に対応した。また,中国政府は北京五輪を通してIPv6技術を世界に示している。

 同社エンジニアリング・マネージャのScott Iekel-Johnson氏は米メディア(InternetNews.com)に対し,「IPv6が普及しないのは,移行に駆り立てる理由が何もないからだ。先ごろGoogleがIPv6に対応したが,これは例外で,多くのWebサイトはまだIPv6に最適化されていない」と述べた。

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