ITエンジニアにとって,自主的なスキルアップは欠かせない。スキルアップに役立つ有効な手段の一つがIT関連資格の取得だ。資格の試験勉強を通じて,その分野に関する体系的な知識を身に付けることができる。資格は,自らが持つスキルや知識のレベルを客観的に示すツールにもなる。

 しかし,どれくらいのITエンジニアが資格を取得しているのか,どんな資格を取得しているのかといった統計データは,あまりないのが実情だ。エンジニアの皆さんも,ほかのエンジニアがどんな資格を取得しているのか,興味があるのではないだろうか。

 そこでITproでは,「IT関連資格の取得状況に関する調査」を実施した。調査の実施時期は2008年7月28日から8月5日。回答者数は2002人である。今回は,この調査結果を報告しよう。ちなみに回答者の職種の内訳は,SEが25.2%,システム運用/管理が20.3%,管理職・経営者が19.6%,プロジェクト・マネジャーが5.3%,マーケティング/営業が5.1%,保守/サポートが4.2%,プログラマが3.8%,コンサルタントが3.6%である。

若い人ほど資格取得率が高い

 まずは,どれくらいの割合の人がIT関連資格を取得しているのかを見てみよう。図1は,「あなたは,なんらかのIT関連資格を取得していますか」という質問の回答結果である。「取得している」と答えた人の割合は56.1%,「取得していない」と答えた人の割合は43.9%という結果になった。資格取得者の割合は6割弱だ。

図1●なんらかのIT関連資格を取得している割合(回答者数1998人)
図1●なんらかのIT関連資格を取得している割合(回答者数1998人)

 図2は,この資格取得者の割合を年齢層別に見たものだ。資格取得者の割合は50歳以上で46.8%,40~49歳で53.7%,30~39歳で60.7%,20~29歳で67.7%と,年齢が低いほど高くなる。若い人ほど,IT関連資格の取得に熱心なようだ。

図2●年代別に見たIT関連資格を取得している割合(回答者数は20~29歳が124人,30~39歳が748人,40~49歳が795人,50歳以上が316人)
図2●年代別に見たIT関連資格を取得している割合(回答者数は20~29歳が124人,30~39歳が748人,40~49歳が795人,50歳以上が316人)

 次に,資格を取得していない理由と資格を取得した理由を見てみよう。図3は,「資格を取得していない」と答えた人に,資格を取得していない理由を聞いた結果である。

図3●資格を取得していない理由(回答者数712人)
図3●資格を取得していない理由(回答者数712人)

 最も多い理由は「業務が多忙」(43.3%)。以下,「給与査定や昇給に考慮されない」(34.1%),「実務とは関係ない」(31.9%),「資格を取得しなくてもスキルを向上できる」(29.8%)が続く。選択肢としては用意していなかったが,自由記述欄に「試験に受からない」「現在試験勉強中」と書いてきた人も多かった。

 一方,「資格を取得している」と答えた人に資格を取得した理由を聞いた結果が図4だ。

図4●資格を取得した理由( 回答者数1100人)
図4●資格を取得した理由( 回答者数1100人)

 最も多い理由は,「自分が身に付けている知識やスキルを,客観的に示せる」(75.2%)。多くの人が,自らの市場価値を目に見える形で示すために,IT関連資格を取得しているようだ。次に多い理由が「将来のキャリアアップに役立つ」(40.4%)。以下,「その製品や技術分野の体系的な知識が身に付く」(33.6%),「勤務先から一時金が出る」(30.5%)と続く。