調査内容 主要インテグレーターに対する「存在感」「勢い」のイメージ
調査時期 2008年7月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3062件(1126件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に行った2008年7月調査で,「強い存在感がある」「会社に勢いがある」と感じるかをシステム・インテグレーター(SIer)の主要企業各68社について聞いたところ,「存在感」は前回2008年4月調査に続いてNTTデータ(48.3%,前回は50.4%)と野村総合研究所(NRI,46.7%,前回は52.5%)の2社が突出。「勢い」は京セラコミュニケーションシステム(KCCS,28.9%,前回は20.0%で10位)が初の首位。前回2008年4月調査から評価対象SIerのリストに加えた新会社パナソニック システムソリューションズ ジャパン(PSSJ)が27.0%の支持で2位(前回は17.1%で25位)となった。

「存在感」2強が逆転,NTTデータが1年6カ月ぶりに首位

 有効回答(対象SIerのビジネス領域と自分の職務領域に接点があるとした回答者)を30票以上得たSIer64社(前回2008年4月調査も64社)の中で,「強い存在感がある」(図の横軸)と評価された比率が最も高かったのはNTTデータ。2007年4月調査での僅差の2位(回答数100以上では首位)以来,2007年7月調査(NRIが53.1%,NTTデータが50.0%),2007年10月調査(同63.3%,49.8%),2008年1月調査(同53.8%,49.6%),前回2008年4月調査まで,毎回50%近い高支持率を得ていつつも,NRIに首位を奪われていた。今回はNTTデータも前回よりやや「存在感」のスコアを落としたものの,NRIが前回比約6ポイント・ダウンした結果,2007年1月調査以来の「存在感」首位に立った。

IBCSが「存在感」3位に浮上,IBMサービスは2回連続で35%弱に沈む

 NTTデータとNRIに次ぐSIerの「存在感」3位以下は,前回調査では2強に15ポイントの大差を付けられていた。しかし今回は,その差が約半分以下の5.9ポイントに接近している。今回3位に浮上したのは前回の25.0%(21位)から15.8ポイントの大幅アップを果たした,IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS,40.8%)。IBCSは前々回2008年1月調査31.6%(12位),2007年4月調査も37.5%(9位)。2007年7月調査と2007年10月調査は有効回答数30未満で参考値だった。

 一方,前々回2008年1月調査でNTTデータに「存在感」スコア0.7ポイント差(48.9%)に肉薄していた日本アイ・ビー・エム・サービス(ISC-J,2007年10月調査は47.7%,2007年7月調査49.0%)は,前回2008年4月調査で約15ポイント後退(34.2%で5位),今回もほぼ同じ34.7%に止まった。4位大塚商会(38.2%,前回は35.4%で3位),5位伊藤忠テクノソリューションズ(CTC,35.5%,前回は34.8%で4位)に次ぐ6位である。

 前回調査で「存在感」スコア33.3%を獲得しISC-Jに次ぐ6位に進出した日立コンサルティング(前々回までは回答数不足で参考値)は,今回は約25ポイントの大幅ダウン(8.8%)。前回と今回の調査でともに有効回答数30以上を得て比較可能な61社の中で,前回調査より10ポイント以上「存在感」スコアが下がったのは,日立コンサルティングのほか,ソラン(前回18.8%→今回2.5%),オージス総研(前回27.9%→今回13.0%)の2社だった。逆に「存在感」スコアが前回より10ポイント以上アップしたのは5社。IBCSの15.8ポイントが最大で,富士通ビー・エス・シー(前回16.7%→今回29.2%),IIJグループ(前回13.2%→今回25.4%),KCCS(前回12.5%→今回23.7%),ダイワボウ情報システム(前回9.7%→今回20.7%)の4社も10ポイント以上アップした。

「勢い」上位をKCCS,PSSJの関西ユーザー系SIerが占める

 「会社に勢いがある」と感じる,と評価された比率では,トップ3のスコアは前回調査とあまり差がないものの,顔ぶれが大きく入れ替わり,首位がKCCS(28.9%),2位がPSSJ(27.0%),3位は三菱総合研究所,トランスコスモス,USOLグループ地域会社が同率(25.0%)だった(前回は日立コンサルティングが27.8%で首位,以下三井情報が25.8%,IBCSとNRIが25.0%で3位)。

 前回調査より10ポイント以上「勢い」スコアを上げたのは,USOLグループ(14.1ポイント),トランスコスモス(13.5ポイント),日立システムアンドサービス(前回10.3%→今回22.6%で12.3ポイント上昇)の3社。前回調査より10ポイント以上「勢い」スコアが下がったのは,前回首位の日立コンサルティング(前回27.8%→今回14.7%)と,都築電気(前回19.4%→今回7.9%)の2社だ。

 今回のSIer「勢い」上位5社は,回答者が自分の職務領域と「接点がある」と評した有効回答数が,いずれもやや少なめである(USOLグループの61票~PSSJの35票)。有効回答数100票以上を得た大手SIerでの「勢い」上位は,キヤノンマーケティングジャパンが23.2%(前回は18.1%)でトップ。以下2番手グループは1.3ポイント差の中にITホールディングス(20.1%,前回は20.4%),オービック(19.8%,前回は18.1%),大塚商会(19.3%,前回は19.9%),ネットワンシステムズ(18.8%,前回は15.8%)の4社がほぼ横並び。いずれも前回調査でのスコアからあまり大きく変動していない。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,システム・インテグレーター(SIer)の主要企業68社について,《会社に勢いがある》《強い存在感がある》と感じるかを聞いた。評価対象(「接点がある」とした回答者数30以上)のSIer64社(総回答数7688)に対する,「勢いがある」という評価の64社単純平均は16.2%(前回2008年4月調査は15.9%)。各社の回答数を乗じた加重平均は16.3%(前回は15.7%)で,前回調査よりやや上昇した。ちなみに昨日8月18日付けの記事で紹介した,今回調査のベンダー62社の「勢い」平均は,単純22.3%,加重20.7%である。
 また「存在感がある」という評価のSIer64社単純平均は23.3%(前回は21.8%)。加重平均は27.1%(前回は25.9%)で,これも前回2008年4月調査よりやや上昇した。今回のベンダー62社の「存在感」平均は単純35.2%,加重45.0%である。
 2007年1月調査では,回答者が対象SIerのビジネス領域と自分の職務領域に「接点がある」とし,かつ対象のSIerについて《今後利用したい》《会社に勢いがある》《強い存在感がある》のいずれかを「はい」とした回答者の数nを100%とした時の比率を使用,n=30以上を得たSIer15社を掲載した。
 今回(2008年7月調査)の集計では,2007年4月調査以後,前回2008年4月調査までの5回と同じく,対象SIerのビジネス領域と自分の職務領域に「接点がある」とした回答者の数nを100%とした時の比率を使用している。
 2008年7月調査の評価対象インテグレータ(SIer)68社のリストは,2008年4月調査と同じものを提示した。評価対象企業全136社のリストは,本調査の設問の原文とともに,日経マーケット・アクセスの有償会員向けサイト「日経MA-INDEX 企業情報システム」で近日中に公開する予定。
 調査実施時期は2008年7月中旬,調査全体の有効回答は3062件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1126件。

図1●主要システム・インテグレータ64社に対するイメージ(「対象SIerのビジネス領域と自分の職務領域に接点がある」とした回答者の中での比率,n=70以上の32社)
図1●主要システム・インテグレータ64社に対するイメージ
(「対象SIerのビジネス領域と自分の職務領域に接点がある」とした回答者の中での比率,n=70以上の32社)
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図2●主要システム・インテグレータ64社に対するイメージ(「対象SIerのビジネス領域と自分の職務領域に接点がある」とした回答者の中での比率,n=30以上70未満の32社)
図2●主要システム・インテグレータ64社に対するイメージ
(「対象SIerのビジネス領域と自分の職務領域に接点がある」とした回答者の中での比率,n=30以上70未満の32社)
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