技術者不足が深刻な問題になっている。学生の間のIT業界の不人気が、これに拍車をかける。調査では活発なIT投資の影で人材不足に悩むユーザー企業の姿が浮き彫りになった。

図1●IT要員の充実度
図1●IT要員の充実度

 IT部門にIT要員の数や能力の充足度を尋ねたところ、なんと61%もの企業が「要員数も能力も不足している」と回答した。続く「能力は足りているが要員数が不足」(13%)と「要員数は足りているが能力が不足」(17%)を合わせると、実に回答企業の91%がIT要員の不足を訴えていることになる(図1)。

 人手不足はITの活用が進む企業ほど深刻だった。従業員1000人以上の大企業で97%が、金融系でも97%が人手不足を訴えた。

 能力不足は上流工程やマネジメント分野で顕著だ。図にはないが、IT要員の能力について充足度合いを尋ねたところ、「大変不足している」「不足している」の合計で最も多かったのが「戦略/企画能力」と「プロジェクトマネジメント能力」の2つでそれぞれ合計71%だ。続いて「ITアーキテクト能力」で合計67%だった。こうした傾向は昨年度と同様だ。

 IT要員の数や能力の不足への対応策は「中途採用」が主流だ。対策の1位と2位の合計が46%だった(図2)。「IT系の新卒学生の採用」は計22%と回答の4番目。IT業界の不人気と相まって、ユーザー企業が“即戦力”に飛びついている状況が読み取れる。

図2●IT要員の数や能力の不足への対応
図2●IT要員の数や能力の不足への対応
IT要員の数や能力の不足に対してどのように対応するかについて1位と2位を回答してもらった
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図3●若者のIT業界離れに対する認識
図3●若者のIT業界離れに対する認識

 若者のIT業界離れに対する認識を尋ねたところ、「強く感じる」と回答した企業は9%、「やや感じる」は33%だった(図3)。「3K」や「7K」との自嘲がいっそうの業界離れを招く悪循環を、ベンダーとユーザーが一体となって断ち切る必要がある。

 JUASは06年6月、ユーザー企業のIT人材について、必要なスキルやマインド、仕事内容を具体的に定義した指標「UISS(情報システムユーザースキル標準)」を策定した。今回の調査では、回答企業の21%が人材育成で採用するなど、少しずつ浸透していた。