調査内容 システム・インテグレーターが手がけるインフラ系分野の認知率
調査時期 2008年6月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3163件(1207件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業情報システム担当者を対象に行っている,国内の主なシステム・インテグレーター(SIer)68社の手がけるビジネス領域の認知度調査の2008年6月版では,インフラ系の調査対象分野を見直し,「SaaS/ASP」,「機器・場所提供型データセンター」,「運用管理・災害対策型データセンター」の3分野を新たに追加した(「調査概要」を参照)。

 その結果下図に示したように,「データセンター」サービス2分野の認知度は,NTTデータがともに68社中唯一30%以上の認知度を獲得。2位のSIerに7~8ポイントの差を付けて突出したトップだった。また「SaaS/ASP」分野は上位5社が3ポイント以内の僅差だったが,NTTデータが日本アイ・ビー・エム・サービス(ISC-J)を0.7ポイント差で上回り首位となった。

「SaaS/ASP」「データセンター」を手がけるSIer認知率は低め

 7月17日付け記事で紹介した業務系8分野と同様,インフラ系8分野も前回2008年1月調査2007年10月調査2007年7月調査と継続調査した分野では,評価対象全68社への認知率の平均値の変動はほぼ2ポイント以内だった。68社の平均値が最も高い分野はアプリケーション間連携基盤系の27.1%(前回2008年1月調査は28.5%,2007年10月調査は21.7%,2007年7月調査は26.4%)。次いでセキュリティー系が24.3%(同22.8%,20.3%,26.0%),設問の表記を変更したWAN/LAN/電話系(「調査概要」を参照)は大きく平均値が下がって22.6%(同30.4%,29.3%,29.3%)。ネット系は21.7%(同24.0%,21.1%,24.4%),ストレージ系は前回と同じ18.0%(同18.0%,14.4%,17.6%)だった。

 一方,新設の3分野はいずれも低めの認知率の平均値を示した。「SaaS/ASP」は68社の平均値が15.3%,「機器・場所提供型データセンター」が13.1%,「運用管理・災害対策型データセンター」は12.4%で,今回の業務系8分野,インフラ系8分野の合計16分野中,最も平均値の低い3分野となった。

インフラ系“オールラウンダー”はNTTデータ

 インフラ系8分野の平均認知率首位のSIerは,今回もNTTデータ(31.8%)。評価対象分野の入れ替えはあったが,2007年7月調査,2007年10月調査,前回2008年1月調査と4回連続で,インフラ系全分野平均認知率首位だ。前回と同じセキュリティー系,WAN/LAN/電話系,ネット系の3分野に加え,前出の新設3分野の合計6分野で上位5社以内に入った。

 8分野の平均認知率の2位以下は,NTTデータから6ポイント以上の差を付けられた。2位は伊藤忠テクノソリューションズ(CTC,25.8%)。ストレージ系とセキュリティー系,SaaS/ASPの3分野で上位5社以内に入った。3位は,ビジネス領域の認知度の評価対象SIerリストに今回から加わったIIJグループ(25.6%)。上位5社以内に入ったのはセキュリティー系,WAN/LAN/電話系,ネット系,機器・場所提供型データセンターの4分野だった。

 平均認知率4位と5位のSIerも,4分野で上位5社以内を占めた日本アイ・ビー・エム・サービス(ISC-J,25.3%)とNTTコムウェア(25.0%)。以下,NECフィールディング(25.0%),ユニアデックス(24.4%),NTT-ME(24.0%),NTTソフトウェア(23.5%)まで,3ポイント以内に8社がひしめく接戦。インフラ系8分野の平均認知率の10位には日立情報システムズ(22.7%)と東芝ソリューション(22.7%)が並んだ。

分野の認知度突出は「DCのNTTデータ」,ネット系のIIJ,WAN/LAN/電話系のNTT-ME

 インフラ系8分野個別に見て,特に高い認知率を得ているSIerは,前述の新設分野のうち「機器・場所提供型データセンター(DC)」と「運用管理・災害対策型DC」のNTTデータが最も突出。68社の認知率の平均値と標準偏差から偏差値を算出すると,NTTデータの運用管理・災害対策型DCが86.4で全社・全16分野中最大。2番目がNTTデータの機器・場所提供型DCの85.9。以下インフラ系8分野の中ではネット系のIIJ(偏差値81.6),WAN/LAN/電話系のNTT-ME(同81.0),セキュリティー系のNTTデータ(76.9)がベスト5だった。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,システム・インテグレーター(SIer)の主要企業68社について,各SIerがITビジネス分野のどの領域を手がけていると思われているのか(認知度)を聞いた。初回2006年10月調査,2回目は2007年1月調査(日経マーケット・アクセス2007年3月号「記事A19」参照),3回目は2007年7月調査,4回目が2007年10月調査,5回目が2008年1月調査,今回が6回目の調査である。
 各SIerについて,【業務アプリケーション系】8分野(経営戦略・意思決定支援系,会計系,人事・給与系,SCM系,SFA・営業系,CRM・顧客関連系,生産管理系,物流系)と,【インフラ系】8分野(セキュリティー系,WAN/LAN/電話系,ネット系(電子商取引など),ストレージ系,アプリケーション連携基盤系,SaaS/ASP,機器・場所提供型データセンター,運用管理・災害対策型データセンター)の合計8分野を提示。取引や商談経験の有無に関係なく,回答者が知る範囲で,各SIerがその分野のITビジネス(サービス)を手がけていると思うかを聞いた。16分野とも空欄とした無回答者は,当該SIerを“知らない”ないし“視野に入れていない”と解釈して,有効回答数から除外している。提示したSIer68社すべてが,この基準で有効回答数30以上を獲得した。
 なお,前回2008年1月調査までは,【インフラ系】は7分野(セキュリティー系,グループウエア/情報共有系,ネットワーク(WAN/LAN/電話)系,インターネット系(情報発信/電子商取引/マーケティング),ストレージ系,アプリケーション/システム間連携基盤系,運用/危機対策/ビジネス・コンティニュイティ系)を提示しており,業務アプリ系8分野と合わせて15分野を空欄とした無回答者を有効回答数から除外していた。
 今回の2008年6月調査では評価対象のインテグレータ(SIer)のリストを一部見直した。前回2008年1月調査から「SRA」,「アイ・ティ・フロンティア」,「シャープシステムプロダクト」をリストから除外。「IIJグループ(インターネットイニシアティブ,IIJ-Techなど)」,「パナソニック システムソリューションズ ジャパン(旧パナソニック システムソリューションズ社,パナソニックSSマーケティングなど)」,「アイネス」をリストに追加している。そのほか「TIS」に換えて「ITホールディングス(インテック,TISなど)」,「CSKシステムズ(CSKコミュニケーションズ,CSK-ITマネジメントなどを含む)」に換えて「CSKグループ(CSKシステムズ,CSKコミュニケーションズ,CSK-ITマネジメントなど)」を提示した。評価対象企業全136社のリストは,本調査の設問の原文とともに,日経マーケット・アクセスの有償会員向けサイト「日経MA-INDEX 企業情報システム」で近日中に公開する予定。
 調査実施時期は2008年6月中旬,調査全体の有効回答は3163件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1207件。

図●システム・インテグレーターが手がけている業務分野の認知率【セキュリティー系上位5社】   図●システム・インテグレーターが手がけている業務分野の認知率【WAN,LAN,電話系上位5社】
 
図●システム・インテグレーターが手がけている業務分野の認知率【ストレージ系上位5社】   図●システム・インテグレーターが手がけている業務分野の認知率【アプリケーション連携基盤系上位5社】
 
図●システム・インテグレーターが手がけている業務分野の認知率【機器・場所提供型データセンター上位5社】   図●システム・インテグレーターが手がけている業務分野の認知率【運用管理・災害対策型データセンター上位5社】
 
図●システム・インテグレーターが手がけている業務分野の認知率【ネット系(電子商取引など)上位5社】   図●システム・インテグレーターが手がけている業務分野の認知率【SaaS/ASP上位5社】
図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系8分野の認知率(各分野の上位5社)
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