調査内容 ITの省エネ(仮想化に期待する効果)
調査時期 2008年5月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3135件((1)1051件,(2)676件)
( )内は,(1)自社の情報システムの担当者,(2)他社(顧客企業,親会社など)のシステム業務担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが「ITの省エネ」を組織的に実施・検討中の企業情報システム担当者に聞いた調査で,その施策として「仮想化技術によるサーバーの物理台数の削減」および「仮想化技術によるストレージの物理容量の削減」を採用または検討中という回答者に,その効果の期待度を聞いたところ,まずサーバーの物理台数の削減では現状の台数を100%として約4分の1の24.1%,ストレージの物理容量は現状の約5分の1の21.1%に削減したい,と考えているという結果になった。

 さらに,仮想化技術の導入による省電力効果の期待値は,サーバーで19.3%,ストレージで17.7%。今回の調査で,単純なサーバーの新機種への更新や,ブレードや水冷,直流電源といったより高度な省エネ策による省電力効果の期待値はいずれも13~15%程度だった(6月12日付け6月13日付けの記事参照)。仮想化技術には,特に高い省エネ効果が期待されていると言える。

 その仮想化技術の導入にかかる初期コストを,運用コスト削減で回収する上での許容期間は,サーバー,ストレージともに31カ月強。これは今回調査したITの省エネ施策の中では,ブレードなどの高効率のサーバー・システムとほぼ同じで,最も長期の部類に属する(6月16日付けの記事参照)。「3年以上」の長い回収許容期間を選んだ回答者の比率も,水冷装置の34.7%に次いでストレージ仮想化(34.3%),サーバー仮想化(33.9%)が高い比率を占めている。

 ちなみに,今回の回答者のうち「自社の情報システムの担当者」に限った集計では,サーバーの物理台数の削減は全平均より1.4ポイント高い削減率(現状を100%として22.7%へ削減),ストレージも全平均より2.2ポイント高い18.9%。省電力効果の期待値はサーバーで18.0%,ストレージで16.5%で,こちらは全平均より1.2~1.3ポイント低い。コストの回収許容期間は,サーバーが31.5カ月でわずかに全平均より長いのに対し,ストレージは30.6カ月で全平均より短期のコスト回収を期待している。

■調査概要
日経マーケット・アクセスがITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,IT機器やデータセンターの消費電力削減など「ITの省エネ」活動の一環として,その担当企業で実施あるいは具体的に検討されている施策の状況を聞いた。集計対象は,担当企業がITの省エネ活動に組織的に(全社ないし部門,事業所の活動として)取り組んでいる(6月10日付け記事参照),とした回答者に限定した。
組織的なITの省エネ活動の施策として,「仮想化技術によるサーバーの物理台数の削減」,「仮想化技術によるストレージの物理容量の削減」の採用を実施または検討中(6月11日付け記事参照)とした回答者に,想定される物理台数と物理容量の削減率(現状を100%とした削減後の数量),電力消費量の削減率(期待値)を聞いた。本文中の「平均」は選択式回答の「10%未満」を5%,「10%以上20%未満」を15%,「20%以上30%未満」を25%,「30%以上40%未満」を35%,「40%以上50%未満」を45%,「50%以上」を55%に換算して加重平均した値である。
併せて,仮想化技術の導入による初期コストの増加が,どの程度の期間の運用コスト削減で回収できれば許容されるのかも聞いた。本文中の「平均」は選択式回答の「1年以内」を6カ月,「1年以上~2年未満」を18カ月,「2年以上~3年未満」を30カ月,「3年以上~4年未満」を42カ月,「4年以上~5年未満」を54カ月,「5年以上」を66カ月に換算して,加重平均した値である。
調査実施時期は2008年5月中旬~下旬,調査全体の有効回答は3135件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした有効回答は1051件。「他社(顧客企業,親会社など)の情報システムにかかわる仕事をしている」とした有効回答は676件。

図1●仮想化技術の導入により、現状より削減できると見込まれる物理台数/容量(現状を100%とした削減後の数量)

図2●仮想化技術の導入により、現状より削減できると見込まれる電力消費量

図3●仮想化技術の導入により増加する初期コストの回収許容期間