調査内容 ITの省エネ(消費電力削減の見込み(2))
調査時期 2008年5月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3135件((1)1051件,(2)676件)
( )内は,(1)自社の情報システムの担当者,(2)他社(顧客企業,親会社など)のシステム業務担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に5月下旬に実施した調査では,「ITの省エネ」のため省電力効果の高いシステムや,省電力ルール(ポリシー)を設定できる管理ツールの採用を実施または検討中の回答者に,それによる省消費電力効果の見込みを聞いた。その結果は,ブレードなどの冷却効率がよいとされているサーバー・システムでは平均15.0%,水冷装置で同14.0%,直流電源方式は13%弱,運用管理ツールの採用では12.5~13%強の省電力効果をが期待しているという結果になった。

 6月12日付けの記事で紹介したように,単純な「消費電力が少ないサーバー(単体)/クライアント機/ストレージ装置」の採用という施策による性能(容量)あたり電力消費量の削減率の期待値は,15.2~15.3%だった。大掛かりな投資や導入作業が必要となるブレード・サーバーや水冷装置,直流電源などの採用でも,導入する側の省電力効果の期待値はほぼ同じかやや低いということになる。

ユーザーの自社システム担当者の期待値はさらに控えめ

 回答の内訳を見ても,約4割以上が省電力効果として最も低い「10%未満」を選択,「10%以上20%未満」を合わせると75~80%を占めている。単純な「消費電力が少ないサーバー(単体)/クライアント機/ストレージ装置」に対する回答傾向と比べて,ブレードなどの高効率サーバー・システムがほぼ同じ,水冷装置や直流電源,運用管理ツールの採用に期待している省電力効果はむしろ控えめという結果だ。

 ちなみに,今回の回答者のうち「自社の情報システムの担当者」に限った集計では,いずれも図示した全有効回答の集計(顧客企業や親会社など他社の情報システムにかかわる業務の担当者を含む)に比べてさらに期待値が低い。水冷装置(n=92)で全回答より約1.5ポイント低い平均12.5%,直流電源(n=101)で約1.1ポイント低い平均11.6%。運用管理ツールの採用に期待している省電力効果は10.7%(ネットワーク機器対象)~12.1%(クライアント機器対象)でやはり1.1~1.7ポイント低い。しかし高効率サーバー・システムだけは,自社システム担当者の期待値も全平均とほぼ同じで,14.8%(n=177)だった。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,IT機器やデータセンターの消費電力削減など「ITの省エネ」活動の一環として,その担当企業で実施あるいは具体的に検討されている施策の状況を聞いた。集計対象は,担当企業がITの省エネ」活動に組織的に(全社ないし部門,事業所の活動として)取り組んでいる(6月10日付け記事参照),とした回答者に限定した。
 「冷却効率のよいサーバー・システム(ブレード,0.5Uなど)」,「水冷装置」,「直流電源方式」,「運用管理ツールによる省電力ポリシーの設定(サーバー対象)」,「同(ネットワーク機器対象)」,「同(クライアント機器対象)」の採用を実施または検討中(6月11日付け記事参照)とした回答者に,それらの機器やツールの導入により,電力消費量をどの程度,現状より削減できる見込みかを聞いた。本文中の「平均」は選択式回答の「10%未満」を5%,「10%以上20%未満」を15%,「20%以上30%未満」を25%,「30%以上40%未満」を35%,「40%以上50%未満」を45%,「50%以上」を55%に換算して加重平均した値である。
 調査実施時期は2008年5月中旬~下旬,調査全体の有効回答は3135件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした有効回答は1051件。「他社(顧客企業,親会社など)の情報システムにかかわる仕事をしている」とした有効回答は676件。

図●高効率のシステムやツールの導入により、現状より削減できる電力消費量の見込み