産官学による任意団体「情報システム調達研究会」(会長:大山永昭東京工業大学教授)は6月6日、2007年度の自治体IT投資ベンチマーク調査の結果を公表した。2007年11月から2008年1月にかけて日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の協力を得て、民間企業調査と同項目で実施したもので今回が第1回目。9都道府県より開発予算500万円以上の28システムについてのデータが寄せられた。

 集まったデータを分析したところ、システムの単位機能当たりの単価は平均2万7195円だった。最も安いシステム(5192円)と高いシステム(9万6837円)との間では約20倍の大きな開きがあった。また、平均単価は民間企業*(12万5939円)より安いことが分かった。システムの品質を表す欠陥率は平均0.54であり、企業(0.81)と比較しても問題なくシステムの構築が行われている。しかし、システムの満足度は46.4%(企業:65.2%)と、満足度が低いことが分かった。調査結果についてのさらに詳しい解説は、同研究会サイトおよびITpro 電子行政の連載記事「情報システム調達研究会報告」(第6回)で公開されている。

* 民間企業のデータはいずれも「ソフトウェアメトリックス調査2007」(JUAS)による

 情報システム調達研究会では、第2回目の「自治体IT投資ベンチマーク調査」に参加する自治体の募集も開始した(募集告知ページ)。開発ベンダーに記入を依頼することができるようにするなど、昨年度より回答のしやすさに工夫をしているという。同研究会では「第1回目は都道府県の参加のみだったが、今回は市町村の参加も期待したい。データが多く集まるほど、予算査定やプロジェクト管理、納品されたシステムの品質の可視化などに立つ精度の高い分析結果を出すことができる」としている。

 情報システム調達研究会は、2007年2月から活動を開始した任意団体。今年度は研究テーマは、(1)調達ガイドの運用改善、情報交換、(2)情報システムのベンチマーク、(3)ITベンダー等との意見交換、(4)IT調達よろず相談をテーマに研究を行っている。2008年5月現在、参加している自治体は、神奈川県、滋賀県、岡山県、高知県、徳島県、市川市、三鷹市、広島市、中野区。自治体のほか、東京工業大学、東京大学、神戸外語大学なども参加している。事務局は東京大学、東京工業大学、アビームコンサルティング、フューリッジなどが務める。