オフィス・ソフトの選択肢が多様化している。アシスト(関連記事)や住友電気工業(関連記事),会津若松市(関連記事)など,無料で使える高機能のオープンソース・オフィス・ソフトOpenOffice.orgを採用する組織が相次いで登場。また,ブラウザさえあれば世界中どこからでも使えるWebベースのオフィス・ソフトも多数登場してきた。

 ユーザーはどのようなオフィス・ソフトを選択しているのか,その選択基準は何か。ITproでは2008年5月20日から5月27日にかけて「オフィス・ソフトに関する調査」を実施した。1584人から有効回答を得た。オープンソースのOpenOffice.orgは約21.9%,Webオフィス・ソフトのGoogle Docsは10%が使用しているなど,新しい形態のオフィス・ソフトの利用が進みつつある実態が明らかになった。

 まず仕事やプライベートを含め,使用しているオフィス・ソフト(複数回答)を聞いた(図1)。

図1●仕事またはプライベートで使用しているオフィス・ソフト(複数回答)

 Microsoft Officeが97.5%と圧倒的である。ただし,OpenOffice.orgを利用しているという回答も21.9%あった。JUST Suiteまたは一太郎を利用しているという回答は8.8%,OpenOffice.orgの有償版であるStarSuiteを利用しているという回答も3.9%あった。その他との回答のなかにはOASYS,Lotus Notesのほか「オフィス・ソフトとは言えませんが,Texをよく使います」というものもあった。

 オフィス・ソフトを選ぶ際に重視した点としては「ソフトが普及していること」が最も多く81.3%。次いで「操作に習熟していること」50.2%,「取引先とのデータのやり取りにあたって互換性が高いこと」48.3%が続く。「価格が安いこと」は19.8%と最優先要項目のひとつではないしかし,自由記入欄に寄せられた意見の中には「機能追加はいいから安くしてほしい」「Microsoft Officeは高価だがデファクト・スタンダードなので使わざるを得ない」という意見も多数寄せられた。「その他」という回答の中には「勤務先の指定」「選んだわけではない」というものが多かった。

 勤務先で購入対象またはステム部門のサポート対象となっているオフィス・ソフトは,という問いでは,Microsoft Officeが93.2%とトップ。JUST Suiteまたは一太郎が4.0%,OpenOffice.orgが3.1%とMicrosoft Office以外の回答は非常に少ない。「特に指定していない」という回答も3.9%あった(図2)。

図2●勤務先で購入対象またはシステム部門のサポート対象となっているオフィス・ソフト(複数回答)

 勤務先でのソフト選定基準は「ソフトが普及していること」が最も多く75.9%。次いで「取引先とのデータのやり取りにあたって互換性が高いこと」53.2%,「操作に習熟していること」46.3%と,問2と同じような傾向を示した。ただし「価格が安いこと」は7.1%と,問2での19.8%に比べ低い。企業で選ぶ際の要件ではソフト自体の価格のウェイトは低いようだ。「その他」の中には「MS製品を核としたシステム構築・販売をしている」「Visual Basicなど広く使われているマクロ言語が使えること」「オープンソースであること」という回答もあった。

 使用しているWebオフィス・ソフトは,という問いに対しては「使っていない」という回答が86.7%と最も多かった。しかしGoogle Docsを使用しているという回答も10.7%あった(図3)。

図3●使用しているWebオフィス・ソフト(複数回答)

 Webオフィス・ソフトを利用する理由は,という設問に対しては,「無料で使える」という回答が利用者のうちの73.1%,「勤務先・自宅など場所を問わず使用できる」が67.0%,「ブラウザがあればどのOSでも使える」が59.4%。「共同作業が容易」という回答も20.8%あった。「その他」の回答には「次期を考えて」,「試用してみたかったから」と,今後への期待がうかがえる記述が見られた。

 Webオフィス・ソフトを利用しない理由については,「パソコンにオフィス・ソフトが入っているから」必要ないという回答が,利用していない回答者の63.2%あった。また「インターネットにつながっていないと使えない」が29.5%,「互換性に問題がある」が16.7%,「操作が重い」が12.3%あった。「その他」の回答では「情報漏洩が心配」「会社の規定により使用不可」という,情報漏洩を不安視する記述が多かった。「ISMSで禁止されていてアクセスできない」という回答もあった。また「いつサービスがなくなるかわからない」という声もあった。「Webオフィス・ソフトって何ですか?」という記述もあり,IT専門家以外の一般への認知はこれからと感じさせる。しかし自由記入覧に「現状では,まだWebオフィス・ソフトの信頼性が低いと思われる。だが,5年後には,主流になるだろうと考えている」という意見や「いずれ,Googleのオフィス・ソフトに全面移行する予定です」という方針を書いた回答者もいた。

 オフィス・ソフトは日常使うものだけに読者の関心も高いようだ。自由記入欄には数百件のご意見が寄せられ,読者の熱気を感じた。以下,いただいたご意見を紹介したい。