米Gartnerは米国時間2008年5月29日,電子商取引(EC)サイトによるWeb 2.0技術の利用状況についての調査結果を発表した。それによると,新しい技術を利用してユーザビリティやインタラクティブ性を高めているサイトは市場全体で見るとごくわずかという。一方で,成功しているサイト運営者はAjaxに代表される新技術を積極的に取り入れて,常にサイトの向上に努めていることも分かった。

 同社によると,ユーザーは商品を見つけることの困難さや,煩雑な支払い手続きなどを理由に,オンライン・ショッピングを敬遠する傾向にある。ユーザーの多くは同じサイトを何度も訪れないため,ECサイトが訪問者に商品を買ってもらうチャンスは一度しかなく,サイトの第一印象は非常に重要という。

 同社は,Web 2.0技術は,販売効率を向上できるほか,CRM(顧客関係管理)への取り組みにも寄与すると分析する。リッチなインターネット・アプリケーションを実行するWeb 2.0技術の多くは,Ajaxを利用しておりカスタマー・エクスペリエンスを高めているという。

 Gartnerは,効果的なAjax手法を9つ挙げている。これらを正しく設計/実装することでカスタマー・エクスペリエンスの向上につながるとしている。

  1. 「データの先読みキャッシュ」(一連のショッピング作業の速度向上)
  2. 「シングル・ページ・アプリケーション」(1つのページで支払い手続きを完了)
  3. 「インタフェース・コントロールと効果の向上」(スライダにより,新しいページを開かずに商品・オプションを表示)
  4. 「データのオート・コンプリート」(郵便番号の入力で住所情報を表示)
  5. 「部分的なデータの送信」(データ入力が未完了でもほかの作業が可能)
  6. 「データの最新状態の維持」(ページを更新することなく,合計金額や価格の変更を反映させる)
  7. 「リアルタイムのデータ妥当性検証」(入力内容をリアルタイムに検証)
  8. 「イベントに基づくオンデマンドのコンテンツ読み込み」(マウス・オーバーで詳細なテキストや画像などを表示)
  9. 「マッシュアップ」(他社の地図サービスと連動して店舗の位置などを表示)

 Gartnerリサーチ部門バイス・プレジデントのGene Alvarez氏は,「ECサイトの多くは,オンライン・ショッピングが爆発的に普及したときに開設された」と説明する。「ユーザーが,サイトの外観の悪さや頻繁なページ更新,煩雑な支払い手続きといったWeb 1.0の弱点を大目に見ていた時代は,そのようなサイトで十分だった。しかし今はそれでは通用しない」(同氏)。

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