米IDCは米国時間2008年5月8日,「超低価格ノート・パソコンは教育用途および一般ユーザーのサブマシンとして成功を収めるものの大ヒット商品にはならない」,とする予測を発表した。

 同社は,次の条件を全て満たすものを超低価格ノート・パソコン(ULCPC)と定義している。(1)価格が500ドル以下,(2)クラムシェル型ノート・パソコン,(3)ディスプレイのサイズが7-10インチ,(4)サード・パーティのアプリケーションをサポートするフル機能OSを搭載,(5)キーボードと無線ブロードバンド接続機能を装備。これらにあてはまる製品には,台湾ASUSの「Eee PC」や,発展途上国の子供たちへのノート・パソコン普及を目指す非営利団体OLPCが開発した「XO」などがある。

 「超低価格ノート・パソコンは,いつでも外に持ち出せるインターネット接続用のサブマシンとして最適だ。スマートフォンのような小型サイズの携帯情報端末では難しい完全なWeb体験が可能なことが,超低価格ノート・パソコンの最大の魅力である。ユーザーが中学生以下であれば,メインのマシンとしての役割を果たすだろう」(IDC)。

 IDCのClients and Displays部門のバイス・プレジデントを務めるBob O'Donnell氏は,次のように述べている。「超低価格ノート・パソコンは大きな可能性を秘めているが,大ヒット商品にはならないだろう。フル・サイズのノート・パソコンと比べてそれほど価格差がないため,消費者は多少高くても,通常のノート・パソコンを選ぶ可能性が高い。また,超低価格ノート・パソコンは利幅が薄いので,ベンダーは慎重にならざるを得ない」。

 IDCの予測によれば,2007年には50万台以下だった超低価格ノート・パソコンの全世界出荷台数は,2012年には900万台以上に増加する。しかし,平均販売価格(ASP)が低いため,2012年の全世界での利益は30億ドルを下回る。消費者パソコン市場全体に占める割合で見ると,2012年まで一貫して5%以下にとどまるが,教育市場では3分の1以上のシェアを獲得する見通しである。

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