グループウエアはネットワーク・インフラの整備とシンクロして,最も普及のスピードが早かったアプリケーションの一つだ。黎明期におけるグループウエアといえば,まずLotus Notes/Dominoであり,Notesの存在がネットワーク環境の普及に一役買ったことは周知の通りである。

 その後もグループウエアの世界では,長らくNotesの天下が続いた。だが,2007年に実施した本調査では,サイボウズoffice(サイボウズガルーン含む)がNotesを抜いて,中堅・中小企業における導入率で初めてトップシェアとなった。2007年は歴史が変わったエポックメイキングな年でもあったわけだ。サイボウズは現在,中堅・中小企業にとどまらず,ガルーン2で大企業向け市場の獲得に注力している。一方の日本IBMは中堅企業向けのグループウエア市場に注力しており,両者はまさしくぶつかり合う関係になる。

サイボウズは利用予定シェア,満足度と合わせて三冠を獲得

 グループウエアはパッケージ率が99.2%,オーダーメイドが0.8%と,ほぼ100%がパッケージとなっている。パッケージ製品のシェアは,トップがサイボウズの「サイボウズoffice(サイボウズガルーン含む)」で25.6%(図1)。日本IBMの「Lotus Notes/Domino」(24.7%)が僅差の2位でこれに続いており,上位2製品で約半分のシェアを占めている。3位はマイクロソフトの「Microsoft Exchange」(13.1%)である。

図1●グループウエアのパッケージ導入率(左)と製品シェア(Nは有効回答数)
図1●グループウエアのパッケージ導入率(左)と製品シェア(Nは有効回答数)

 パッケージ利用予定シェアは,トップがサイボウズの「サイボウズoffice(サイボウズガルーン含む)」で31.4%,2位が日本IBMの「Lotus Notes/Domino」で16.8%,3位がマイクロソフトの「Microsoft Exchange」で16.4%である(図2)。「今後導入を検討する」という条件での回答なので,必ず購入するとは限らない。しかし,サイボウズの勢いをうかがい知ることが出来るデータである。

図2●グループウエア製品の利用予定シェア(Nは有効回答数)
図2●グループウエア製品の利用予定シェア(Nは有効回答数)

 パッケージ製品の利用者には,満足度を5段階で評価してもらった(図3)。この結果を見る限り,導入シェア,利用予定シェアだけでなく,満足度でもサイボウズ製品が首位となっている。このことは大きなアドバンテージと言えるだろう。

図3●シェアが上位だったグループウエア製品の満足度。5段階評価(0,20,60,80,100)の加重平均で算出した(Nは有効回答数)
図3●シェアが上位だったグループウエア製品の満足度。5段階評価(0,20,60,80,100)の加重平均で算出した(Nは有効回答数)

 最近になって,米GoogleなどからSaaS(Software as a Service)タイプのグループウエアも数多く登場している。このため将来は,「グループウエア=パッケージ」ではなくなる可能性もある。だが,当面は中堅・中小企業向け市場におけるサイボウズ製品のトップシェアが続きそうだ。

 次回はERP(統合基幹業務システム)を取り上げる。

 なお回答企業プロフィールなどの調査概要については,こちらをご覧ください。

■伊嶋 謙二 (いしま けんじ)

【略歴】
ノークリサーチ代表。大手市場調査会社を経て,98年にノークリサーチを設立。IT市場に特化した調査,コンサルティングを展開。特に中堅・中小企業市場の分析を得意としている。07年には中堅・中小企業のIT部門向けQ&Aサイト「シス蔵」をテクネット社と立ち上げた。