ヤフーの広告本部マーケティング部長 近藤弘忠氏
ヤフーの広告本部マーケティング部長 近藤弘忠氏
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クリックしていなくても3割が広告を認知
クリックしていなくても3割が広告を認知
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フリークエンシーは12回までは右肩上がりで上昇
フリークエンシーは12回までは右肩上がりで上昇
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近日中に「インターネット公開出稿効果シミュレータ」を公開予定
近日中に「インターネット公開出稿効果シミュレータ」を公開予定
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インターネット公開出向効果シミュレータによって広告の効果を予測できるようにする
インターネット公開出向効果シミュレータによって広告の効果を予測できるようにする
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 NTTレゾナント、マイクロソフト、ヤフー、ビデオリサーチインタラクティブの4社は2008年4月21日、インターネット広告の効果について共同調査を行った結果を報告した。

 ネット広告の指標は通常、クリック数やコンバージョンレート(訪問者のうちどれくらいが購入に至ったか)などの、データが取りやすい「ダイレクトレスポンス」でその効果が判断されている。だが一方で、「テレビや新聞と同様に広告露出自体の効果もある。ただ、その指標がないのが弱点だった」(ヤフーの広告本部マーケティング部長 近藤弘忠氏)。そのため、ダイレクトレスポンス以外での指標になるようなデータ作成を試みたのが今回の調査だ。

 調査対象は「goo」(NTTレゾナント)、「MSN JAPAN」(マイクロソフト)、「Yahoo!JAPAN」(ヤフー)に出稿された68素材のバナー広告。Cookieでユーザーを識別してインターネット上でアンケート調査を行い、2007年3~12月の間に、延べ3万8000サンプルを回収したという。

 その結果、Webページ内に広告があった場合に、広告をクリックしなくてもその広告を認知している割合(認知率)は29.1%だった。広告の内容によっては60%を超える認知率があったという。さらに、広告を認知した上でその広告が何の広告であるか、メッセージは何かなど、内容を理解した割合は62%。また、ネット広告を見たユーザーの当該商品に対する理解度は、ネット広告を見ていないユーザーの1.25倍だったという。

 ネット広告のフリークエンシー(特定のネット広告と特定のユーザーの接触頻度)やインプレッション(ネット広告の露出回数)に関する調査結果も発表された。フリークエンシーに関しては、12回までは認知率は上昇し続けるという結果。インプレッションに関しては、1000万インプレッションの広告に対して、広告認知者数は130万人という結果だったという。

 さらにこの調査結果から、ネット広告の露出自体による効果を分析。「音やエキスパンド(マウスポインターを合わせると広告が拡大したりする効果)などのリッチ素材の使用」「タレントやキャラクターの使用」「キャンペーンサイトの活用」などで効果が大幅に上昇する一方で、広告のイントロに企業のブランドロゴは利用しない方が効果は上がるとした。

 この調査結果や基準値は無償で公開する。ビデオリサーチインタラクティブのホームページではこれらの調査結果を基に露出効果の予測ができる「インターネット公開出稿効果シミュレータ」を近日中に提供する予定だ。こういった基準値の作成により、「広告をクリックした人以外がどれくらい認知しているのかが分からない、という広告主からの一番のクレーム」(マイクロソフトのデジタルアドバタイジングソリューションズ業務執行役員 福徳俊弘氏)を緩和できるとみている。