欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)はベルギーで現地時間2008年3月19日,欧州のブロードバンド普及状況に関する年次報告書を発表した。それによると,2007年末時点のEU地域内のブロードバンド通信市場は約620億ユーロ規模だった。2007年の新規加入は1900万回線で,欧州全体のブロードバンド普及率は20%に達した。

 加盟国のうちデンマーク,フィンランド,オランダ,スウェーデンの4カ国で普及率は30%を超え,さらに英国,ベルギー,ルクセンブルグ,フランスを加えた8カ国はいずれも米国の普及率22.1%(2007年7月時点)を上回った。

 通信市場全体の規模は3000億ユーロで前年から1.9%成長し,EUのGDPの2%を占めた。通信業界における設備投資は5年連続で増加し,500億ユーロを超えた。これは米国にほぼ匹敵する規模で,中国と日本の合計額を上回っている。

 携帯事業分野は前年比3.8%成長の1370億ユーロ規模となり,携帯電話の普及率は112%に上昇した。第3世代携帯(3G)の普及率は前年から2倍に拡大して20%となり,ユーザー数は8800万人にのぼる。

 米メディア(Internetnews.com)によれば,欧州委員会は2010年には欧州全体のブロードバンド普及率を30%まで引き上げ,新規事業の創出など経済の拡大につなげたいとしている。

 欧州委員会の情報通信担当委員Viviane Reding氏は「各国の規制緩和を進めるなど,通信業界の再編を進め,国境を超えて競争を促進し,単一市場としての競争力を一層高める必要がある」と語っている。

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