調査内容 業務システムの導入・更新・再構築計画(サーバーのコスト)
調査時期 2008年2月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3317件(1279件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業の情報システム担当者を対象に2008年2月に実施した調査で,回答者が業務としてシステムを担当している分野について,「更新・再構築(刷新)後の次期システムの中核となるサーバーの導入初期費用(ハード,基本ソフト,ミドルウエアの合計),保守費用(同),運用要員数(人件費換算)は,現行システムの何倍程度になる見込みか」を聞いた。

 その結果,初期費用は概ね現行の1.1~1.2倍と,やや投資額の拡大を予定しているものの,保守費用は現行システムと同程度から1割増(1.0~1.1倍),運用要員数は同程度から2割削減(0.8~1.0倍)の計画であることが明らかになった。

 3月17日付けの記事で紹介したように,システム刷新後の性能需要には現行システム比で最小1.7倍(人事・給与)~最大2.9倍(経営戦略支援),ディスク容量の需要にも「クライアント上の処理の集約(シンクライアント)」と「人事・給与」の2.4倍から「業務継続支援(バックアップ系など)」システムの3.9倍まで,という開きがある。しかしユーザー企業・組織のシステム担当者は,刷新時のコストの増減計画はそれら性能や容量の拡大規模の大小と関係なく,どのシステム刷新でも一律に「初期費用は1~2割増,保守費用は現状維持,運用は1~2割減」を見込んでいることになる。

 唯一の例外は「シンクライアント」。有効回答に2票不足のため参考値扱いだが,この分野のシステムだけは刷新にあたって初期費用に現行システムの平均1.6倍を投じるという,大幅な拡大が見込まれている。今回の調査で明らかになった需要サイドの企業情報システムへの投資・コストの意識から見て,ここ12カ月~18カ月の金額ベースでの市場成長率は1ケタ台と見るのが妥当だろう。その中で「シンクライアント」は,導入・刷新予定の絶対数は少ない(3月14日付け記事のグラフを参照)が,ここ1年以内に本格的に立ち上がり急成長が見込める,希有な企業情報システム分野と言える。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,業務システムの用途・目的として次の16種類を提示。その中から,回答者が現在システム担当業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)の中で,最も大きな比重を占めている用途・目的のシステムを最大3つまで選ぶよう求め,その3種の用途・目的のシステムについて,それぞれの今後の導入・更新・再構築の計画(時期と規模)について聞いた。
 提示したシステムの用途・目的は,「財務会計(単独)《初期費用回答率51.2%,保守費用回答率52.4%,運用要員数回答率53.6%》」,「連結会計,管理会計《順に47.2%,48.3%,50.6%》」,「人事・給与《同52.8%,51.9%,51.9%》」,「販売・営業(管理・計数系)《同57.5%,59.3%,59.7%》」,「販売・営業(情報提供系)《同54.5%,55.5%,55.0%》」,「物流・在庫管理《同50.5%,51.6%,52.1%》」,「生産計画(グループ企業,協力企業を含む)《同51.0%,51.0%,52.2%》」,「調達・購買《同44.9%,45.8%,48.6%》」,「対外接続・データ交換・入力フロントエンド《同51.9%,51.9%,54.3%》」,「対外情報提供(Webサイトなど)《同61.9%,63.1%,61.4%》」,「内部システム間接続・統合(ESB,製品/顧客/部品表統合マスターDBなど)《同50.8%,51.3%,52.8%》」,「業務継続支援(バックアップ系など)《同56.9%,55.5%,58.8%》」,「業務統制・文書管理(ワークフローなど)《同51.7%,52.7%,51.2%》」,「経営戦略支援(BI/DWH,社内ポータルなど)《同54.1%,53.4%,51.9%》」,「情報流通・共有(メール,グループウエアなど)《同49.3%,49.9%,51.6%》」,「クライアント上の処理の集約(シンクライアント)《同47.7%,49.2%,50.8%》」の16種類である。なお,「シンクライアント」の初期費用,保守費用,運用要員数への有効回答はいずれも28票で30票に満たなかったため,参考値扱いである。
 上記の《》内の数字は,その用途・目的を「最も大きな比重を占めている(最大3つ)」に選んだ回答者のうち,「既に稼働していて更新・再構築の方針が明確になっているものについて,現行システムのサーバーの導入初期費用(ハード,基本ソフト,ミドルウエアの合計),保守費用(同),運用要員数(人件費換算)を1.0とした場合に,次の更新・再構築時に必要となる初期費用,保守費用,運用要員数の倍率」を明示した(「わからない」や無回答としなかった)比率である。
 本文中の「初期費用,保守費用,運用要員数の平均」は,ともに「現行システムのサーバーの初期費用,保守費用,運用要員数を1.0とした場合の比率」に対する選択式回答の「0.25未満」を0.125,「0.25以上~0.5未満」を0.375,「0.5以上~0.75未満」を0.625,「0.75以上~0.9未満」を0.825,「0.9以上~1.1未満」を1,「1.1以上~1.25未満」を1.175,「1.25以上~1.5未満」を1.375,「1.5以上~1.75未満」を1.625,「1.75以上~2.0未満」を1.875,「2.0以上~3.0未満」を2.5,「3.0以上」を3.5に換算して平均した。
 調査実施時期は2008年2月中旬,調査全体の有効回答は3317件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1279件。

図●現行システムの更新・再構築時に,必要と見込まれるサーバーのコスト(導入初期費用(ハード,基本ソフト,ミドルウエアの合計),保守費用(同),運用要員数(人件費換算),現行を1.0とした場合の比率,2008年2月調査)