米Cisco Systemsは米国時間2008年3月10日,リモート・ワーカーが企業セキュリティに与える影響などについて調査した結果を発表した。それによると,IT意思決定者の5人中3人は,2008年にセキュリティ支出の増額を予定しているという。

 調査は,Ciscoがオンライン・リサーチ企業の米InsightExpressに委託し,米国,英国,日本を含む10カ国の2000人を超えるリモート・ワーカーとITプロフェッショナルを対象に実施した。2008年2月に発表した調査結果では,リモート・ワーカーの意識調査を中心としていたが,今回は主にITプロフェッショナルを対象とした調査結果を発表している(関連記事:「インターネットはより安全になっている」と考えるリモート・ワーカーが増加)。

 調査対象となった10カ国中,8カ国で半数以上の回答者がセキュリティ支出の増額を予定していることが明らかになった。ITプロフェッショナルの62%は「2008年にセキュリティ支出を増額する」と回答。この半分以上(37%)は前年予算から10%を上回る増額を予定しているという。

 国別では,中国,インド,ブラジルといった新興市場において,支出の増額を計画しているIT意思決定者の割合が高かった。これらの国では,前年予算から10%を上回る増額を予定する回答者の割合も高かった。また,これら3カ国のリモート・ワーカーは,企業に早くからインターネットを導入してきた国と比べて「不審な電子メールを開封する」「近所の無線接続にアクセスする」「従業員以外と企業のデバイスを共有する」といった危険な振る舞いが多いという。

 レポートでは,多国籍企業およびIT部門が従業員のセキュリティ認識や経験のレベルを把握することで,より強い連携と信頼関係を築くことが重要だと指摘。また,効果的な教育プログラムを提供することが企業のセキュリティ保護につながるとしている。


■国別にみた2008年のセキュリティ支出の増額予定
----------------------------------------------
国 増額を予定する割合 前年比10%超の
増額を予定する割合
----------------------------------------------
全体 62% 37%
----------------------------------------------
インド 83% 60%
中国 83% 58%
ブラジル 68% 56%
ドイツ 61% 31%
イタリア 60% 35%
英国 58% 29%
オーストラリア 55% 30%
米国 53% 27%
フランス 49% 22%
日本 24% 15%
----------------------------------------------
出典:Cisco Systems

 このほかにも,レポートではセキュリティ支出について,「許容できる」支出と「許容できない」支出の線引きを理解することの重要性を指摘。必要な技術に対する支出以外に,従業員への継続的な教育によってセキュリティへの認識を高めることで回避できるコストをどのように最低限に抑えるかが課題となるとしている。

発表資料へ