米調査会社のJavelin Strategy&Researchは米国時間2008年2月11日,米国の個人情報不正使用に関する調査結果を発表した。07年に米国内で発生した個人情報の不正使用による詐欺の被害総額は450億ドルで,前年の510億ドルから12%減少した。

 ただし,被害件数は3年連続で減少しているものの,2006年に554ドルだった1件あたりの平均被害額は2007年に25%増加し691ドルとなった。

 被害のうち,クレジットカード番号などの個人情報が電話や郵便によって流出するケースが全体の40%に達しており,前年の3%から急増した。特に,vishing(ビッシング)と呼ばれる,インターネット電話などを使った新たなフィッシング手口が増加した。

 被害にあった場合の対応は年齢層によって異なり,18~24歳の若年層では67%がクレジットカード会社への通報を最初に行い,他の年齢層の3倍に当たる47%がクレジット保険に加入していた。

 インターネット・バンキング,電子決済などの利用が増加し,システムの安全性が高まる一方,消費者側でもスパイウエア,ウイルス防止ソフトの導入など個人情報の保護に対する意識が高まっており,詐欺の件数は今後も減少すると推測されている。

 「企業による啓蒙活動の効果もあり,個人情報保護の意識は高まっているが,新たな手口も生まれており,企業,個人とも一層努力する必要がある」とJavelin Strategy&Research社長兼創立者のJames Van Dyke氏は述べている。

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