米AMDは12月12日,世界の地域ごとのサーバー室やデータセンターにおける電力消費量に関する調査の結果を発表した。2000年から2005年にかけての電力消費量の増加率が最も大きかったのは,日本を除いたアジア太平洋地域。世界平均が年間16%増だったのに対し,インドや中国を中心とするアジア太平洋地域は23%増と,世界平均を大きく上回るペースで増加していることが分かった。さらに2005年から2010年にかけて,アジア太平洋地域の電力消費量は倍増する可能性があると予測する。

 この調査は,ローレンス・バークレー国立研究所の研究者で,スタンフォード大学教授であるジョナサン・クーメイ博士が,米IDCのデータを利用して実施した。サーバーとそれを稼働させるための空調などの設備が消費する電力量を,米国,西ヨーロッパ,日本,日本を除くアジア太平洋,その他の地域,の5つに分類して,算出・分析した。

 この調査によると,2005年時点では全世界で年間1229億kWhの電力が消費されていた。最も多くの電力を消費していた地域は米国で,約36.7%を占めた。西ヨーロッパが27.1%。日本は10.5%で,最も少なかった。日本を除くアジア太平洋地域は13.0%だったものの,2000年から最も高い割合で電力消費量が増加したことがわかった。

 クーメイ博士は,今後の変化についても試算している。2005年から2010年にかけてエントリ・クラスのサーバーが50%増加し,ミッドレンジやハイエンドのサーバーが20~30%増加すると想定すると,世界の電力消費量は2010年までに40%増加する可能性があると指摘。さらに,サーバーあたりの電力消費量が2000年から2005年までと同様に増加すると想定すると,2010年までの増加割合は76%以上に達する可能性もあるという。

 特に増加するとみられるのはアジア太平洋地域で,2010年までに電力消費量が倍以上に増える見込みである。これに対応するためには,1000MW規模の発電所を2カ所建設しなければならないという。

 クーメイ博士の試算では,2010年までの世界の電力消費量の増加をまかなうには,1000MW規模の発電所10カ所以上が必要になる。米AMDは,「今後省電力が進み,米環境保護庁が試算するように全体の20%電力を削減できれば,その削減量は1000MW規模の発電所5カ所分に相当する。つまり,今後の取り組みが順調なら,世界の電力消費量の増加を半分に抑えられる」と分析する。