米Nemertes Researchは米国時間11月19日,インターネットのトラフィック増加に関する調査結果を発表した。それによると,インターネット需要が急拡大しており,2010年にはネットワーク容量の不足が深刻化するという。

 必要な容量を確保するためにインフラを整備する場合,全世界で必要な投資額は約1370億ドル(1ドル110円換算で15兆700億円)。また,北米で必要となる投資額は420億~550億ドル(同4兆6200億~6兆500億円)と推算する。

 トラフィック急増の背景にあるのは,ビデオのストリーミング,音楽のダウンロード,ピア・ツー・ピア(P2P)型のファイル交換など。同社が引用した米comScoreの調査によると,米国インターネット・ユーザーの75%は,今年5月にオンライン・ビデオを平均158分視聴している。

 また,同社は携帯電話やスマートフォン,ゲーム機器なども,インターネット・トラフィック増加の要因と指摘する。

 需要に見合ったネットワーク容量を確保できない場合,オンライン注文を1度で確認できなかったり,「YouTube」でビデオをスムーズに視聴できないといった問題が生じる。また,インフラが不十分だと,インターネットを利用した革新技術が生まれにくくなる恐れがある。

 ブロードバンドの普及促進団体,Internet Innovation Alliance(IIA)で共同議長を務めるBruce Mehlman氏は,「帯域幅を消費するビデオ・オンデマンドの台頭など,現在のインターネットの使い方は3年前と比べて根本的に異なる」と説明する。「ブロードバンド・インフラが今後も需要に対応できるよう,通信事業者や政策立案者は今から必要な措置を講じる必要がある」(同氏)。

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記事掲載当初,「現在予定されている投資額720億ドル(同7兆9200億円)を60~70%上回る見通しだ」との一文がありましたが,翻訳上の誤りでした。このため,同文を削除しました。お詫びして訂正します。[2007/11/21 15:00]