「過去1年間に,個人所有のパソコンを使って自宅で仕事をした」という回答者は,過半数を超える51.5%。その一方で,「個人所有のパソコンを業務で利用することが,勤務先で認められている」という回答者は16.4%に過ぎない。これらの数字からは,多くの人たちが勤務先のルールを破って仕事を自宅へ持ち帰り,個人所有パソコンを業務に利用している実態がうかがえる。
個人所有パソコンの業務での利用は,パソコン自体の盗難やP2Pソフトへのウイルス感染などによって,個人情報流出の大きな原因となっている。そこでITproでは,2007年10月24日から10月30日にかけて「個人所有のパソコンのビジネス利用に関するアンケート」を実施した。個人所有パソコンの業務利用の有無,勤務先でのルール,実施しているセキュリティ対策を調べることが目的である。アンケートには1120人から回答を得た。
勤務先のルールを破って仕事を持ち帰る回答者も
冒頭で紹介したように,「過去1年間に,個人所有のパソコンを使って自宅で仕事をした」人は,51.5%に達する(図1)。自宅への仕事持ち帰りが常態化した職場が多いことを考えると,この数字自体はさほど意外なものではないだろう。
図1●過去1年の間に,個人所有のパソコンを使って自宅で仕事をしたことはあるか |
「個人所有のパソコンを業務で利用すること」について,勤務先にルールが存在する回答者は7割弱(図2)。そのうち「認められている」が16.4%で,「認められていない」は52.9%である。残りの3割強は「決まっていない」あるいは「分からない/知らない」など。個人所有パソコンの業務利用が情報漏えいの大きな原因になっていることを考えると,やむを得ず認めるにしても,ルールをあいまいにせずに,漏えい防止対策を立てる必要性は高いだろう。
図2●個人所有のパソコンを業務で利用することは,勤務先で認められているか |
ここで「個人所有のパソコンを業務で利用することが,勤務先で認められていない」という回答者に限って,「過去1年間に,個人所有のパソコンを使って自宅で仕事をしたことがあるか」を調べると,興味深いことに気づく(図3)。「認められていない」回答者でも,「過去1年間に,個人所有のパソコンを使って自宅で仕事をしたことがある」が,3割弱に達するのだ。
図3●個人所有パソコンの業務利用ルール別に見た「過去1年の間に,個人所有のパソコンを使って自宅で仕事をしたことがあるか」
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絶対数で見ると「認められていない」のに,仕事を自宅に持ち帰り個人所有パソコンを使っている回答者は169人になる。本調査の全回答者は1120人なので,そのうち15.1%もの人々が勤務先のルールを破ってまで仕事を自宅に持ち帰り,個人所有パソコンを業務に利用していることになる。
一方,個人所有パソコンの業務利用が勤務先で「認められている」回答者を見ると,そのうち9割以上は「過去1年間に,個人所有のパソコンを使って自宅で仕事をしたことがある」。これら回答者の勤務先では,自宅への仕事持ち帰りを前提とする勤務体制ができあがっていると考えられる。