企業ユーザーが現在使っているWANサービスを見ると,フレッツ・グループ(アクセス)の躍進が目立つ(図1)。企業ユーザーが「現在使っているサービス」(複数回答),「その中で主力として使っているサービス」(一つだけ)という設問に対し,どちらについてもフレッツ・グループ(アクセス)の増加傾向が読み取れる。フレッツ・グループ(アクセス)は,NTT東西のFTTHサービスであるBフレッツなど安価なアクセス回線を組み合わせたエントリーVPNの一つである。

図1●企業ユーザーの主な通信サービスの導入率の推移
図1●企業ユーザーの主な通信サービスの導入率の推移
企業ユーザーが利用中の主な通信サービス(アクセス回線を除く。複数回答)を集計した。幹線系と支線系の両方に共通するのはフレッツ・グループ(アクセス)の導入率が伸びていること。
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図2●フレッツ・グループが主力の通信サービスとしても伸びる
図2●フレッツ・グループが主力の通信サービスとしても伸びる
幹線・支線系の両方でフレッツ・グループ(アクセス)を主力通信サービスと回答する企業の割合が増えた。
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 とりわけ顕著なのが支線系ネットワークでの利用だ。支線向けでは,フレッツ・グループ(アクセス)の導入率は19.5%。フレッツ・グループ(アクセス)を「主力」として挙げる企業ユーザーも,2006年の4.7%から11.2%へと急増した(図2)。主要拠点を結ぶ幹線系ネットワークでも,フレッツ・グループを主力に位置付ける企業は昨年の4.3%から4.7%に増えている。

 フレッツEグループ(アクセス)の導入率が伸びた背景として挙げられるのが,FTTHに代表される光ブロードバンド回線の浸透だ。光ブロードバンドとは,光ファイバを媒体として使うネットワークで,具体的にはFTTH,NTT東西や電力系地域通信事業者の広域イーサネット,イーサネット専用線の3種類を指す。アクセス回線に占める光ブローバンドの割合は年々増加している。今回の調査では,これら光ブロードバンドの導入率が伸びたことだけでなく,その高い満足度も明らかになった。


光ブロードバンドは6割の企業に浸透

 アクセス回線の光ブロードバンド化はこの2~3年で急速に進んだ。2007年は,かつてはアクセス回線としてデジタル専用線やNTT東西の「メガデータネッツ」などの比率が高かった幹線系の主力通信サービスにまで,光ブロードバンドの波が押し寄せている。

 幹線系ネットワークの場合,2006年の調査では55.3%の企業ユーザーが光ブロードバンドを採用しており,「アクセス回線が世代交代を果たした」と結論付けた。2007年の調査では,この世代交代がさらに進んでいることが確認できる。幹線系ネットワークでの光ブロードバンドの導入率は,2006年に比べて5.4ポイント・アップの60.7%に達した(図3)。

図3●幹線系主力サービスのアクセス回線は6割以上が光ブロードバンド
図3●幹線系主力サービスのアクセス回線は6割以上が光ブロードバンド
2006年に比べてさらにアクセス回線に占める光ブロードバンドの割合が伸びた。ユーザーが幹線系の主力として挙げる通信サービスの6割以上で,アクセス回線に光ブロードバンドが使われている。

 一方で,“旧世代”のアクセス回線となるNTT東西のメガデータネッツ,xDSL,デジタル専用線の三つの導入率は下がっている(図3参照)。メガデータネッツの導入率は10.9%から9.5%,xDSLは10.9%から9.2%,デジタル専用線は9.6%から8.0%という結果だった。

 通信サービスごとのアクセス回線の内訳を見ると,光ブロードバンドの使い分けが見えてくる(図4)。FTTHの導入率はインターネットVPNとフレッツ・グループ(アクセス)の二つが突出して高く,それぞれ58.0%,60.0%に達している。広域イーサネットでは,光ブロードバンドの導入率は88.3%に上るが,その中でFTTHが占める割合は6.5%と少ない。

図4●WANサービス別のアクセス回線利用状況(幹線系) 
図4●WANサービス別のアクセス回線利用状況(幹線系) 
通信サービスのアクセス回線は,FTTHなどの光ブロードバンド回線が半数以上を占める。ただし,FTTHと広域イーサネット,イーサネット専用線の割合はサービスによってバラつきがある。
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 IP-VPNとNTT東西の「フレッツ・オフィス,同・ワイド」では,“旧世代”のアクセス回線を組み合わせるユーザーがまだまだ多い。IP-VPNでの光ブロードバンドの導入率は45.7%で昨年の34.3%よりも大きく伸びてはいるが,依然としてNTT東西のメガデータネッツ(18.0%)やデジタル専用線(12.8%)の導入率も高い。


調査概要
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回答企業のプロフィール
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