国境なき記者団はフランスで現地時間10月10日,中国におけるインターネット検閲の現状に関する報告書を発表した。中国の人権保護団体と共同で実施した調査によると,数十万人の“サイバー・ポリス”が中国インターネット・ユーザーのオンライン活動を監視しているという。

 中国ではこの数年で各地域の公安局に特別な部署が設けられている。その職務は機密とされているが,政府にとって不名誉なニュースや情報を一掃する役割を担っていることを,同調査はつきとめた。過去10年で,こうしたサイバー・ポリスの監視により逮捕されたインターネット・ユーザーや反体制者は数百人にのぼる。

 2005年以前の中国当局はインターネット検閲システムを持たなかったが,2005年11月に北京にInternet Information Administrative Bureauを立ち上げ,多数の検閲職員を雇用し,北京をベースにした主要Webサイトの監視を開始した。さらにはその権威を利用して,特定のプロパガンダ的情報を発信するようWebサイトに圧力をかけるようになっている。

 例えばポータル・サイト「Sohu(捜狐)」とブログ専門サイト「Bokee(博客網)」は,「Xinhua(新華通信)以外のニュース・ソースの情報を載せてはならない」とする命令書に従わなかったために,それぞれ2万人民元(約1900ユーロ)と1万人民元(約960ユーロ)の罰金を科せられた。

 また個人が運営するWebサイトの多くは,監視団体から特定コンテンツの削除を命じるメッセージを,1日に最大5回受け取っているという。

 国境なき記者団と中国人権保護団体は「このような検閲システムは,世界中ほかに類を見ない。これは,オンラインの自由の精神を侮辱するものだ」と非難した。

[国境なき記者団のプレス・リリース]
[調査報告書(PDF書類)]